伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 第27回/夢世界アマミ国日記(27/33)
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

第27回/夢世界アマミ国日記(27/33)

脳細胞融解系小説
夢世界アマミ国日記

奄美剣星

第27回

パイロット搭乗型のロボットの草分けに、永井豪の漫画『マジンガーZ』というのがある。アニメにもなっている。敵役の一人・アシュラ男爵は、顔面の半分ずつが成人男女になっている。桃太郎の麾下の犬は、その頭を載っけた大型犬だ。軍用犬の中に、木に登ったり、塀を走ったりする個体があるように、そいつも「田舎屋敷」の欄干や廊下深くに侵入した。

藁葺き古民家風の寝殿。くすんだ柱・梁が重厚に組まれ、黒光りした廊下の板は鶯張りになっていて、歩くたびに、きゅっきゅっと音が鳴る。僕がいる能舞台にそいつが駆け寄ってきた。能舞台に踊りだす直前、寝殿側の廊下の角で待ち伏せていた、王国防衛隊の旗持ちが飛び出してきた。

二人はにらみ合った。するとなぜだか怪しげなランバダのリズムが流れ出してきたではないか。犬は後足で立ち上がる。すると両性具有であったはずの胴体のうちの男性側が消えて、全てが女性に変わった。しょせん男などというものはマザコンだ。概して豊かなバストというものに幻惑される。

女性型をとった犬は、踊りながらも股間のところだけはみえないように、うまく隠している。長い指がしなやかに誘う。大名行列とかけて男の目線ととく、その心は、「下に、下に」とばかりに、旗持ちの目線が行く。

「いらっしゃい、坊や」

女が脚を開く。

「うひょおおおっ!」

女に化けた犬が、したりと笑った。頭部が再び男女両面に分かれて、その縦筋が二つに分かれたかと思いきや、鞭となった長い舌が、頭上からしなって、旗持ちをしたたか打った。

ぎゃっ。

旗持ちは、隊旗をもったまま、大の字になって突っ伏す。犬は踏みつける。すると次は木刀を手にした隊長が立ちはだかる。

「俺に色仕掛けは効かねえぜ」

「なら、これはどう?」

犬は炎を吐いた。豪胆な元暴走族の総長も、顔を引きつらせ、思わず双眼を閉じる。炎が王国防衛隊隊長を覆う寸前、泡だった白い液が天井から噴射された。火の手があるがると、自動消火システムが発動するようになっていたのだ。消化剤は、当然、火の元である犬の顔面にもかけられ、目鼻口といったところ覆った。呼吸ができずに、犬はもんどりをうったところを、隊長が木刀でボコボコにした。

そこに、シルフィーと蘭丸、ついでにミクまで従えた白いスーツの王様が現れて、「そのへんで許してやりなさい」と声をかけた。王様が指を鳴らす。途端、床が割れて、犬は地下深くに落ちていった。恐らく、底のほうには岩屋になった地下牢があるのだろう。

(えっ、これで許したことになるの?)

思わず突っ込みを入れてしまう僕だった。

雉・猿に続いて、犬まで撃破された桃太郎はようやく、旗艦の安宅船から大砲を鳴らし、退却命令を出した。鉄蜘蛛に乗って、義勇軍を蹴散らしていたマサムネは、悔しげに、田舎屋敷の突破口から、麾下に合図して引き上げ始めた。数百いた天邪鬼たちも引き上げていく。

敵艦・安宅船が、兵員を回収すると拠点である国境のアマミトンネルに撤収していった。

 






【登場人物】

王様(白い文王) : 白いスーツの老紳士。夢世界アマミ国王。現実世界では、白文鳥に化け、八年間奄美に飼われていた。
シルフィ― : 王様の家臣。長身で銀色髪をしたクールな青年。
蘭丸 : 王様の恋人である絶世の美少年。浮遊樹を削って作ったサーフィンに乗り、古代ギリシャ風に月桂冠を被り腰布をまとっている。
僕(奄美) : 八年ぶりに帰国する王様に同行し、アマミ国に訪れた際、十歳弱の蝶ネクタイと半ズボンの少年になる。
マサムネ:アマミ国を脅かす賊将。王様をつけ狙う。近習が六名いる。
ワタリ : 賊将マサムネの部下。猛将系。有翼船を操る。羽飾りの帽子にコートを羽織り、海賊のような姿をしている。
カタクラ : 賊将マサムネの部下。知将系。「影」の一団を率いる。黒装束で忍者の様な姿をしている。
メフィスト :王国中に支店網をめぐらす魔法使いの商人。
ミク : 王様ファンの少女。社会人なりたて。
棟梁 : 戦いで街が壊れると修理に駆けつける『燕衆』を率いる宮廷職人。
総長と旗持ち男 : 暴走族。
隻眼の兎ギルガメッシュとサーベルタイガーのエンキドウ : サイドカー仕様のスズキのバイクKATANAに乗った『王様のいない八年』間王都を守ってきた謎のヒーロー。『守護者』の異名がある。
桃太郎:私掠船船長。隣国・桃源国の王族。
犬・猿・雉:桃太郎の腹心。


【粗筋】

僕・奄美は、窓際に飛んできた白文鳥と暮らしていた。八年後、文鳥は白いスーツの老紳士となり帰国したいと申し出た。そこはアマミ国。老紳士は国王だった。招待された僕は、少年の姿に変えられ冒険の旅へ。

ところが行く手を賊将マサムネ一派が立ち塞がった。天空の『浮き島』アマミ宮殿で舞踏会が行われたとき、マサムネが奇襲をかけ六星合体DATEOTOKOに変身。王様はトランスホンダを装着し対抗する。戦闘は王宮から『人食い森』へ。僕はシルフィーや蘭丸と一緒に燕衆棟梁がつくった浮遊樹のサーフボードで二人を追いかける。

途中、王都高速道路で、暴走族と張り合うのだが、一緒に『人食い森』まできてしまった。無差別に襲いかかる屍鬼。敵の敵は味方。共闘し仲間になった。『守護者』隻眼の兎とサーベルタイガーが加勢し形成が一気に逆転する。

他方、王様は実の息子である賊将マサムネと決闘し、勝利を治め、とどめをさそうとしたところを、マサムネ配下のワタリとカタクラによって阻まれ、取り逃がしてしまう。

王様は暴走族たちを、王国警備隊に任命し、「人食い森」の定期伐採を開始、宮廷職人燕衆が壊れた高速道路の補修をすることになる。『王様のいない八年』で荒れかけた王国は着実に復興へと向かっていくのだが……。いよいよ物語はクライマックスへ。

王様は、僕・奄美少年を『田舎屋敷』に招待した。王様との楽しい『浮遊樹遊び』もつかの間、隣国・桃源国の私掠船船長桃太郎が攻めてきた。
スポンサーサイト

theme : 自作小説(ファンタジー)
genre : 小説・文学

line

comment

Secret

line
line

line
Google ペイジランク
ページランク-ナビ
line
奄美剣星
line
文鳥貴族
文鳥貴族
line
最新記事
line
「怪盗めろん」

 

line
「文鳥王トリスタン」
 
line
ブクログ
line
小説家になろう
line
amazon書籍
line
アルパカ版の恋太郎です
line
映画『副王家の人々』より
副王家の一族 
line
イアリング
 ekubo
line
チャイナドレス
chainadoress
line
ポーズ
sofa
line
魯迅記念博物館
inu
line
陽だまりの乙女
usagi
line
裸婦
うつぶせのジャスミン
line
sakasu
line
打ち上げ花火をあげられる四季の風景時計
line
PC広告Amazon
line
テーブルと椅子
椅子3   
line
sub_line
プロフィール

奄美剣星 (狼皮のスイーツマン)

Author:奄美剣星 (狼皮のスイーツマン)
1930年前後の歴史推理小説 シナモンと素敵な旅をどうぞ

line
ranking 1
 
line
ranking 2
人気ブログランキングへ
line
置手紙
おきてがみ     
line
Twitter ぼたん
Sweetsman7をフォローしましょう
line
レッドバロン
line
検索フォーム
line
QRコード
QRコード
line
所収作品について
文献・画像等引用の場合は引用元を記載。自作小説倶楽部作品著作権は各著者に帰属。それ以外の文藝作品・絵画写真画像に関する諸権利は当該ブログ管理人に帰属。無断複写転載を禁じます。
line
カジュアルのシナモン
シナモンアップ 
line
リンク
line
マラッカ要塞
marakka
line
珈琲館の割れ甕
城南
line
地図
line
草原の乙女
sougenn
line
バー
eruhurio  
line
海へ行こう
umiheyuku2
line
祖母
  umiheyuku 1
line
洗い髪
araigami
line
癒しの音楽
line
sub_line