伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 第22回/方舟のファイサル(謎の男ファイサルとは?)
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

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第22回/方舟のファイサル(謎の男ファイサルとは?)

八月中旬――

貨客船の胴部にあるゲートが上に開いて、橋がかけられ、コンテナや自家用車が運ばれていくのがみえた。

(あれは――)

どこかでみたようなサイドカーが運ばれていく。

(まさか……だよな)

ひらべったい感じがする白い二階建ての出入国管理ビルからは、カーキ色をしたジャバラのような長い連結路が伸び、通り抜けると船内に至ることができた。デッキにでて仲間たちの姿を探す。ビルの見送り用のベランダに、ポモリ教授、真希さん、そして同期の赤城が手を振っているのがみえた。汽笛が鳴り、連結路が外される。船が出航。埠頭に立つ三人の姿がだんだん小さくなって消えた。

一九七五年に建造され沖縄・大阪間を往来していたフェリー「飛龍」は、一九八五年に中国に売却・改装され「鑑真号」となった。排水量九二八〇トン、旅客定員五百六十四名の日中国際フェリーである。主に大阪・上海間を結んでいたが、一九八九年あたりでは横浜にも寄港していた。三泊四日で上海に着く。

外観は白で塗装し、青の横線をいくつか入れて決めている。

『鑑真号』内部には、客室、ラウンジ、娯楽室、大浴場、レストラン、それに船倉の駐車庫をそのまま転用した倉庫。客室は、特等室、一等室、二等室の三タイプがある。もちろん僕が購入したのは二等室の乗船券だ。

特等室はホテルでいうところのスイートルームだ。一等室は四人部屋で、ちょっと羽振りのいい人たちがいた。二等室は駐車スペースを仕切っただけの、大部屋で百人くらいはいただろうか。いくつかあった。

僕は、ぱんぱんに荷物を詰め込んだリュックサックを大部屋に置いて、さっそく船内を散策してみることにした。    

デッキにでてみると湿った潮風が髪を流した。乗客の大半は中国人、次に多かったのが日本人、欧米人技師のグループ、それにインド人やアラビア系の人々もいた。みんなに言葉をかければ必ず言葉が返ってくる。英語、日本語、中国語、アラビア語、ヒンズー語、フランス語といった言葉が飛び交う。「鑑真号」には独特の匂いがあった。

欧米の技師たちは中国の天然ガス田掘削で派遣された人たちだ。スエーデン人は、「中国語ができない。仕事を早く終えて家族の所へ帰りたい」と話していた。僕も英語意外の外国はできない。技師とは英語で意思を伝えあった。

スェーデン人たちと別れてラウンジにいく。若い男女三人が環状になった大人数掛けの椅子に腰をおろしていた。日本語で、一行に手洗いの位置を訊いたところ、女性は首を横に振り、両サイドにいた男性二人がにらみつけた。

(印象の悪い奴らだなあ) 

どうにか乗務員をみつけて手洗いの場所を訊きだす。乗務員は、日本語が堪能な中国人の 青年で、にこにこしていた。

「あの人たち、『中国雑伎団』のスター。美男美女。倉庫にはパンダも乗っているよ。でもパンダは上海で観てね」 

(なるほどそういうことか)

一人うなづく。
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