伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 第22回/夢世界アマミ国日記
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

第22回/夢世界アマミ国日記


脳細胞融解系小説
夢世界アマミ国日記

奄美剣星

第22回


大アマミ湖湖畔には、フェリーの船着場や漁港の他に、ヨットハーバーがあり、ヨットが係留されている。会員用ラウンジと周辺のふな置き場なんかは草が茂っていて、砲弾が打ち込まれたような跡もあった。このあたりで戦闘があった様子で、そのまま使われていない様子だ。

プロペラをとりつけた浮遊樹の枝。先端に停っている燕衆の棟梁がキセル煙草をふかしてからつぶやいた。

「ここは一大リゾート地じゃった。『王様のいない八年』のはじめに起こった、桃源国侵攻による『第二次田舎屋敷戦争』。アマミ国義勇軍と敵・天邪鬼との戦闘は激しく、このあたり一帯は焦土と化したんじゃ」

「そんな大変な中で、王様はどうしてアマミ国を離れたの?」

額に「つ」、横に「安全第一」と書かれた白いヘルメットを被った老燕が質問に答えた。

「ああ、坊ちゃんはまだ知らなかったんじゃのお。アマミ国の住人は、一種の渡り鳥で、『こっち』と『あっち』を八年ごとに往来する習性がある。宿命じゃな。儂らは『出稼ぎ』と呼んでおる。例え戦争が起きても掟には逆らえん」

僕は、入国するとき、港で出会った労働者たちを思い出した。街路の辻にあった凸面鏡に映る彼らの歩く姿が文鳥になっていた。もしかして僕の側の人間が毎夜眠って夢をみるように、アマミ国の住人は八年ごとに深い眠りについて文鳥になる夢をみるのだろうか。そんなふうに感じる。

棟梁に確認しようとしたとき、横の浮遊樹の枝にいた王様が、険しい顔をして、はるか遠くの湖面を凝視していたので、そっちを見遣る。するとそこに、一隻の古風な和風帆船が浮かんでいた。『大安高船』という銅板装甲帆船で大砲数十門を装備している。

「何、あれ?」

「おいでなすったか!」

「え?」

「桃源国の私掠船。平たくいえば桃源国が公認した海賊船だ。敵が占拠したアマミトンネルは、アマミ川の上流にあって、鉄道・高速道路のほかに運河もある巨大なものだ。そこを通り抜けてきたんじゃよ」

私掠船が大砲をこちらに向けてぶっ放してきた。


【登場人物】

王様(白い文王) : 白いスーツの老紳士。夢世界アマミ国王。現実世界では、白文鳥に化け、八年間奄美に飼われていた。
シルフィ― : 王様の家臣。長身で銀色髪をしたクールな青年。
蘭丸 : 王様の恋人である絶世の美少年。浮遊樹を削って作ったサーフィンに乗り、古代ギリシャ風に月桂冠を被り腰布をまとっている。
僕(奄美) : 八年ぶりに帰国する王様に同行し、アマミ国に訪れた際、十歳弱の蝶ネクタイと半ズボンの少年になる。
マサムネ:アマミ国を脅かす賊将。王様をつけ狙う。近習が六名いる。
ワタリ : 賊将マサムネの部下。猛将系。有翼船を操る。羽飾りの帽子にコートを羽織り、海賊のような姿をしている。
カタクラ : 賊将マサムネの部下。知将系。「影」の一団を率いる。黒装束で忍者の様な姿をしている。
メフィスト :王国中に支店網をめぐらす魔法使いの商人。
ミク : 王様ファンの少女。社会人なりたて。
棟梁 : 戦いで街が壊れると修理に駆けつける『燕衆』を率いる宮廷職人。
総長と旗持ち男 : 暴走族。
隻眼の兎ギルガメッシュとサーベルタイガーのエンキドウ : サイドカー仕様のスズキのバイクKATANAに乗った『王様のいない八年』間王都を守ってきた謎のヒーロー。『守護者』の異名がある。


【粗筋】

僕・奄美は、窓際に飛んできた白文鳥と暮らしていた。八年後、文鳥は白いスーツの老紳士となり帰国したいと申し出た。そこはアマミ国。老紳士は国王だった。招待された僕は、少年の姿に変えられ冒険の旅へ。

ところが行く手を賊将マサムネ一派が立ち塞がった。天空の『浮き島』アマミ宮殿で舞踏会が行われたとき、マサムネが奇襲をかけ六星合体DATEOTOKOに変身。王様はトランスホンダを装着し対抗する。戦闘は王宮から『人食い森』へ。僕はシルフィーや蘭丸と一緒に燕衆棟梁がつくった浮遊樹のサーフボードで二人を追いかける。

途中、王都高速道路で、暴走族と張り合うのだが、一緒に『人食い森』まできてしまった。無差別に襲いかかる屍鬼。敵の敵は味方。共闘し仲間になった。『守護者』隻眼の兎とサーベルタイガーが加勢し形成が一気に逆転する。

他方、王様は実の息子である賊将マサムネと決闘し、勝利を治め、とどめをさそうとしたところを、マサムネ配下のワタリとカタクラによって阻まれ、取り逃がしてしまう。

王様は暴走族たちを、王国警備隊に任命し、「人食い森」の定期伐採を開始、宮廷職人燕衆が壊れた高速道路の補修をすることになる。『王様のいない八年』で荒れかけた王国は着実に復興へと向かっていく。

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