伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 第20回/夢世界アマミ国日記
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

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第20回/夢世界アマミ国日記



脳細胞融解系小説
夢世界アマミ国日記

奄美剣星


第20回

市街地が終わり、人家もまばらとなり、人よりも牛馬の数が多くなってきた。谷間には水車が、高台には風車が回っている。西に向かう鉄道沿線には目立って大きな山はない。遥か西の彼方にアマミ山という標高三千メートル級の山がそびえたち、そこを源流とするアマミ川が王国中央部を東流してアマミ湾に注ぐのである。線路は川にかかる鉄橋を越えたり戻ったりを繰り返しながら、一日がかりで終点に着いた。

着駅は百メートルあるか否かというホーム以外は何もない。駅舎もなければ改札口もない駅だ。線路は続いているのだけれども、その先はターミナル施設があって、線路の付いた円盤に機関車を乗せ、機関車ごと回転させて折り返す。機関車は伏線から御料車の先頭に行って再び連結される。

ホームのあちらこちらが煤けているのが気になった。

「わあっ、王様だあっ!」

夕方になっていた。ホームを降りると、数百人の村人が駆け寄ってきた。半数くらいの農民は、背負子を背負っていた。中には野菜やら果物が入っている。プレゼントするというのだ。

王様は頭を残して蜂鳥の姿に変身。忙しく村人たちに祝福の口づけ「ロイヤル・キス」をして飛び回った。車椅子に座っていた老婆が、口づけされて嬉しさのあまり立ち上がって歩き出すという奇跡まで起きてしまう。そんな一幕もあった。

王様万歳!

田舎道を離宮に向かう途中、地面のあちこちが黒くなっているのが目に入り、駅のホーム同様に気になった。

駅から少し離れた丘陵の斜面に「田舎屋敷」離宮がある。離宮の麓にある集落の民家とどう違うというのだろう。違いといえば門のところに王家の紋章があるくらいのもので、藁葺屋根の母屋そのものである寝殿に至る階段の横には、青々と茂った稲穂が風に波打つ棚田があった。

寝殿のあるテラスにたどり着くと、大きな湖、その名も大アマミ湖が望めた。東流するアマミ川は一度大アマミ湖に注ぎこみ、そこから再び海を目指すのだ。

相変わらず、白スーツ姿の王様は、高校生風のブレザーに着替えた蘭丸とミクを両脇に抱えて、ふやけていた。銀色髪のシルフィーが頭を抱えている。総長たちは宴会の話でもち切りだ。寝殿に入る前に、僕は肩に乗った燕衆の棟梁にいくつかの疑問を投げかけてみた。

「線路はまだまだ西に続いているのに、ここの執着駅になっているのはどうして? ホームや道のあちこちが黒く煤けているのはなぜ?」

「うすうす気づいてはいるだろう。『王様のいない八年』で王国が荒廃した。『郊外』と呼んでいるのは王国辺境のことだ。王国はアマミ山を含む高い山々に囲まれていて外敵が侵入できない。唯一の弱点がアマミ山トンネルだ。外敵はそこを占拠していて、天邪鬼どもを送り込んでくる。

義勇兵が奮戦して王都には近づけなかったのだが、国境に近いこのあたりは、それなりに被害をだしている」

「外敵? 賊将マサムネとは別に敵がいるの?」

「桃源国だ。マサムネ公は奴らに利用されている。気が付かぬのじゃ」

僕は意外な事実を知った。とすると、八年ぶりとなる「郊外」への王様の行幸はただ僕を接待するだけのものではなくて特別なものに違いない。百姓屋にしかみえない離宮も特別な意味をもった施設だということになる。恐らくは辺境における義勇軍司令部のようなところなのだろう。


登場人物】

王様(白い文王) : 白いスーツの老紳士。夢世界アマミ国王。現実世界では、白文鳥に化け、八年間奄美に飼われていた。
シルフィ― : 王様の家臣。長身で銀色髪をしたクールな青年。
蘭丸 : 王様の恋人である絶世の美少年。浮遊樹を削って作ったサーフィンに乗り、古代ギリシャ風に月桂冠を被り腰布をまとっている。
僕(奄美) : 八年ぶりに帰国する王様に同行し、アマミ国に訪れた際、十歳弱の蝶ネクタイと半ズボンの少年になる。
マサムネ:アマミ国を脅かす賊将。王様をつけ狙う。近習が六名いる。
ワタリ : 賊将マサムネの部下。猛将系。有翼船を操る。羽飾りの帽子にコートを羽織り、海賊のような姿をしている。
カタクラ : 賊将マサムネの部下。知将系。「影」の一団を率いる。黒装束で忍者の様な姿をしている。
メフィスト :王国中に支店網をめぐらす魔法使いの商人。
ミク : 王様ファンの少女。社会人なりたて。
棟梁 : 戦いで街が壊れると修理に駆けつける『燕衆』を率いる宮廷職人。
総長と旗持ち男 : 暴走族。
隻眼の兎ギルガメッシュとサーベルタイガーのエンキドウ : サイドカー仕様のスズキのバイクKATANAに乗った『王様のいない八年』間王都を守ってきた謎のヒーロー。『守護者』の異名がある。


【粗筋】

僕・奄美は、窓際に飛んできた白文鳥と暮らしていた。八年後、文鳥は白いスーツの老紳士となり帰国したいと申し出た。そこはアマミ国。老紳士は国王だった。招待された僕は、少年の姿に変えられ冒険の旅へ。

ところが行く手を賊将マサムネ一派が立ち塞がった。天空の『浮き島』アマミ宮殿で舞踏会が行われたとき、マサムネが奇襲をかけ六星合体DATEOTOKOに変身。王様はトランスホンダを装着し対抗する。戦闘は王宮から『人食い森』へ。僕はシルフィーや蘭丸と一緒に燕衆棟梁がつくった浮遊樹のサーフボードで二人を追いかける。

途中、王都高速道路で、暴走族と張り合うのだが、一緒に『人食い森』まできてしまった。無差別に襲いかかる屍鬼。敵の敵は味方。共闘し仲間になった。『守護者』隻眼の兎とサーベルタイガーが加勢し形成が一気に逆転する。

他方、王様は実の息子である賊将マサムネと決闘し、勝利を治め、とどめをさそうとしたところを、マサムネ配下のワタリとカタクラによって阻まれ、取り逃がしてしまう。

王様は暴走族たちを、王国警備隊に任命し、「人食い森」の定期伐採を開始、宮廷職人燕衆が壊れた高速道路の補修をすることになる。『王様のいない八年』で荒れかけた王国は着実に復興へと向かっていく。

それから王様は、僕・アマミ少年を王都西の辺境にある『田舎屋敷』離宮に誘った。コッペル機関車に牽引された御料車に乗って、王様、シルフィーと蘭丸、燕衆の棟梁、それに王国警備隊になった元暴走族たちに加えて、王様のガールフレンド・ミクや、魔法商人メフィストまで加えた賑やかな旅になった。


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