伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 第19回/夢世界アマミ国日記
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

第19回/夢世界アマミ国日記


脳細胞融解系小説
夢世界アマミ国日記

奄美剣星


第19回

弁当とスナック菓子、漫画本を詰めたリュックに背負い、水筒を肩に引っ掛けた金刺繍・黒軍服の一団が続々と列車に乗り込んでゆく。皆若い。近衛兵の格好だが、どうにもピクニックに出かけるふうにしかみえない。

「うひょおっ。こっ、これが噂の御料列車。一度乗ってみたかったっすよ、総長!」

「総長じゃねえ、隊長だ」

「あ、失礼しました、隊長」

片や、王様の両隣りには、美少女と美少年が侍っていて、双方が火花を散らしていた。

「ちょっと、蘭丸、私の王様にひっつかないでよおっ!」

「王様が愛しているのは僕だけだ」

「二人とも仲良くしろ。そうだな、こうすれば手っ取り早い」

王様は両腕にしがみついている蘭丸とミクの首根っこをつかむと、勢い顔をぶつけるようにキスさせてしまった。

うっぷ。

メフィストが、二人に、消毒用アルコールとガーゼを手渡して、「ご精算は後ほど」といって微笑した。

僕の肩に乗った燕衆の棟梁は、キセル煙草に火をつけて、「これが平和というものじゃよ」といって目を細めていた。

(どこがだ?)


王都駅には御料車専用ホームというのがある。一般客には判らない格納庫があり、ホームは一般車両対応のホームよりも小さい。柱から天井にかけてアーチになったゴシック風の煉瓦建造物だ。


王国が貴賓に対して用いる専用車両を御料車という。アマミ国の御料車は、コッペルというドイツ製の古い小型機関車に、小ぶりな客車を五つ連結させている。客車は、前から控え室・第一化粧室・御座所・第二化粧室・休憩室の順になっていた。


王様、国賓の僕・奄美を主賓として、随員にシルフィーと蘭丸、ツバメ衆の棟梁、王国警備隊隊長と旗頭に就任した元暴走族総長と旗持ち男、それにどういうわけだか魔法商人のメフィストと王様が「ガールフレンド」と呼んでいるOLのミクまで乗車していた。控え室には総長の部下である元暴走族である王国警備隊員三十名が陣取っている。なんともガラの悪い王室専用列車となっていた。


汽笛がなった。出発進行。天井がガラス張りとなっているホームを滑り出した御料列車は、ビルの谷間に敷設された高架橋の路線を抜けて西に向かっている。行く先は、「田舎屋敷」と呼ばれている避暑地の離宮だ。


【登場人物】

王様(白い文王) : 白いスーツの老紳士。夢世界アマミ国王。現実世界では、白文鳥に化け、八年間奄美に飼われていた。
シルフィ― : 王様の家臣。長身で銀色髪をしたクールな青年。
蘭丸 : 王様の恋人である絶世の美少年。浮遊樹を削って作ったサーフィンに乗り、古代ギリシャ風に月桂冠を被り腰布をまとっている。
僕(奄美) : 八年ぶりに帰国する王様に同行し、アマミ国に訪れた際、十歳弱の蝶ネクタイと半ズボンの少年になる。
マサムネ:アマミ国を脅かす賊将。王様をつけ狙う。近習が六名いる。
ワタリ : 賊将マサムネの部下。猛将系。有翼船を操る。羽飾りの帽子にコートを羽織り、海賊のような姿をしている。
カタクラ : 賊将マサムネの部下。知将系。「影」の一団を率いる。黒装束で忍者の様な姿をしている。
メフィスト :王国中に支店網をめぐらす魔法使いの商人。
ミク : 王様ファンの少女。社会人なりたて。
棟梁 : 戦いで街が壊れると修理に駆けつける『燕衆』を率いる宮廷職人。
総長と旗持ち男 : 暴走族。
隻眼の兎ギルガメッシュとサーベルタイガーのエンキドウ : サイドカー仕様のスズキのバイクKATANAに乗った『王様のいない八年』間王都を守ってきた謎のヒーロー。『守護者』の異名がある。




【粗筋】

僕・奄美は、窓際に飛んできた白文鳥と暮らしていた。八年後、文鳥は白いスーツの老紳士となり帰国したいと申し出た。そこはアマミ国。老紳士は国王だった。招待された僕は、少年の姿に変えられ冒険の旅へ。

ところが行く手を賊将マサムネ一派が立ち塞がった。天空の『浮き島』アマミ宮殿で舞踏会が行われたとき、マサムネが奇襲をかけ六星合体DATEOTOKOに変身。王様はトランスホンダを装着し対抗する。戦闘は王宮から『人食い森』へ。僕はシルフィーや蘭丸と一緒に燕衆棟梁がつくった浮遊樹のサーフボードで二人を追いかける。

途中、王都高速道路で、暴走族と張り合うのだが、一緒に『人食い森』まできてしまった。無差別に襲いかかる屍鬼。敵の敵は味方。共闘し仲間になった。『守護者』隻眼の兎とサーベルタイガーが加勢し形成が一気に逆転する。

他方、王様は実の息子である賊将マサムネと決闘し、勝利を治め、とどめをさそうとしたところを、マサムネ配下のワタリとカタクラによって阻まれ、取り逃がしてしまう。

王様は暴走族たちを、王国警備隊に任命し、「人食い森」の定期伐採を開始、宮廷職人燕衆が壊れた高速道路の補修をすることになる。『王様のいない八年』で荒れかけた王国は着実に復興へと向かっていく。



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