伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 第14回/夢世界アマミ国日記
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

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第14回/夢世界アマミ国日記

前回までの粗筋/奄美は、窓際に飛んできた白文鳥と暮らしていた。八年後、文鳥は白いスーツの老紳士となり帰国したいと申し出た。その国はアマミ国。老紳士は国王だったのだ。招待された奄美は、少年の姿に変えられ冒険の旅へ。ところが行く手を賊将マサムネ一派が立ち塞がったのだった。

脳細胞融解系小説
夢世界アマミ国日記

奄美剣星

第14回


マサムネと麾下の親衛隊五人が、六星合体をして、甲殻化したDATEOTOKOの巨体が動き出した。背負っていた巨大な太刀を振りかざしたとき、灰色の斬撃が、中空に放物線の軌跡を描き、王様に襲い掛かった。

白いトランスホンダを装着した王様が、なぜだかやはり背負っていたビームサーベルで、敵の一撃を返しつつも、足払いをくらわした。堪らず黒い人型甲殻は横転。瓦礫と粉塵が王宮に飛び散った。

「派手に暴れると棟梁の仕事が増える。戦いの場所を変えねば――」

王様がつぶやく(それにしては大きな声だけど)。

トランスホンダ背負っているリュックのようなものが、かぱっ、と開く。オレンジ色に輝く炎が噴射され、機体は垂直に昇天して行くのだった。

仰向けに倒れたDATEOTOKOが起き上がった。その際、庭の植え込みにいた燕衆の棟梁と目が合ったのだ。

「……」

一瞬ではあったが、確かに両者は感慨深げに互いを見たと僕は記憶している。

甲殻人型DATEOTOKOの巨体も、背中が、コガネムシのような羽を大きく広げて、そこから霊光のような眩い閃光を放ち、王様の後を追いかけた。

「ねえ、シルフィー。王様たちはどこへ行くんだろ?」

「『人食い森』だと思う」

植え込みの木に停まっていた燕衆の棟梁が話しに割り込んだ。

「なるほど、あそこならば暴れても支障がない」

「『人食い森』?」

銀色髪のシルフィーが、王様とマサムネが飛んでゆく空の彼方に目をやりながら、言葉をつなげた。

「王都の内と外には環状道路が二つある。首都高速道と外環道路だ。外環道路の一部が、『人食い森』に覆われてしまって一部が通行止めになっている。坊ちゃん、食虫植物って知っているだろう? バネ仕掛けの葉や、壺状になった花といった罠に虫を誘って、肥やしにしてしまう植物。それが巨大化した危険な森なんだ」

シルフィーがいい終わるや否や、腕組みをしていた棟梁が、片翼を挙げた。すると何若衆の燕数十羽が、王宮の植え込みにあった木の枝を嘴でつつきだした。瞬く間に製材がなされて長板となり、サーフボードの形になった。

「追うなといっても、どうせ行くんだろ。使ってくれ」

棟梁がはにかんだ。

不思議なことにボードは宙に浮かんでいた。――というのは、材木である植え込みにあった。王宮の内外に植え込まれている樹木は、浮遊樹という代物なのだ。ギリシャ彫刻のような恰好をしてる美少年蘭丸が使っているサーフボードも同じものだ。

僕が、グレイのスーツ姿をしたシルフィーの腰につかまった。ボードが勢いよく天空を走り出す。アマミ宮殿がだんだん小さくなって行く。

ミクが見送っていた。ふてくされているに違いない。

燕衆たちは、一体、どれほどの数がいるのだろう。数万羽はいるに違いない。四方八方から燕たちが王宮に飛来してきた。棟梁と燕衆たちは、そんな僕たちを見送ることもなく、慌ただしく王宮の補修を始めた。

宮殿の外は浮遊樹の深い森に囲まれていた。それが巨大な岩塊である『浮島』の表面に根を張って、強力な浮力で宙空に押し上げているのだ。全長二キロ四方はあろうか。球体を二つに割った形をしており、平たいところが森があり、絶壁に近いところに王宮があった。そんなところに敢えて建ててあるのは、見晴らしがいいからだろう。

トパーズを切り出したクレイパーのような摩天楼がそびえたつ王都。空には上面を緑で覆った半球形の岩塊が漂っていた。

シルフィーのボードに乗った僕は、ハイウエイが隙間を塗って走る環状線をたどって、王都の東を飛んで行くのだった。

どういうわけだか、途中、王様のお気に入りである蘭丸が合流してきた。やはり浮遊樹のボードに乗っていた。

【登場人物】


王様(白い文王) : 白いスーツの老紳士。夢世界アマミ国王。現実世界では、白文鳥に化け、八年間奄美に飼われていた。

シルフィ― : 王様の家臣。長身で銀色髪をしたクールな青年。

蘭丸 : 王様の恋人である絶世の美少年。浮遊樹を削って作ったサーフィンに乗り、古代ギリシャ風に月桂冠を被り腰布をまとっている。

僕(奄美) : 帰国する王様に同行し、八年ぶりに夢世界アマミ国に訪れた際、十歳弱の蝶ネクタイと半ズボンの少年になる。

マサムネ:アマミ国を脅かす賊将。王様をつけ狙う。近習が六名いる。

ワタリ : 賊将マサムネの部下。猛将系。有翼船を操る。羽飾りの帽子にコートを羽織り、海賊のような姿をしている。

カタクラ : 賊将マサムネの部下。知将系。「影」の一団を率いる。黒装束で忍者の様な姿をしている。

メフィスト :王国中に支店網をめぐらす魔法使いの商人。

ミク : 王様ファンの少女。社会人なりたて。

棟梁 : 戦いで街が壊れると修理に駆けつける『燕衆』を率いる宮廷職人。

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