伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 公女からの手紙7/ハプスブルク戦記
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

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公女からの手紙7/ハプスブルク戦記

ハプスブルク戦記
桜の下の王子様

第1章 公女からの手紙



お城の外でスケートをしたり、乗馬をしたりして、王子様とお姫様は大変仲が良く、跡継ぎの子供たちが次々に生まれます。幸福な日々が続きました。



クリスマス。狩場のブリュッセル都城郊外にある小川の淀みに氷が張り若夫婦がスケートに興じていた。勢いよく滑ってきた二歳年上の妻が夫に突撃を掛けてきた。夫が受けようとするのだけれども、尻もちをついたまま向こう岸まで弾き飛ばされる。

「どう、私の騎兵突撃は?」

「流石、シャルル突進公の娘だ」

マクシミリアン皇子の前に、マリー公女が滑り寄ってきて、手を差し出すと自慢げに告げた。

「子を身籠りました。凄いでしょ?」

皇子は目を丸くした。

「ほんと?」

そういってから慌てて言葉を続ける。

「過激な運動はお腹の子に障るよ」

「病気じゃないの。まだ大丈夫よ」

ギネガテでの戦勝の後も吉報が続いた。マクシミリアン皇子とマリー女公との間には三人の子供たちが生まれる。政略結婚とはいえ異常なほどに夫婦仲が良い。マリーは第一子フィリップ公子を、第二子マルグリット公女を産んだ。第三子フランソワ公子は夭折するが、ほどなく第四子を授かるのだった。

フランス軍を相手に華々しい戦勝を飾ったマクシミリアンにとって、世継ぎを得るということはそれ以上に喜ばしいものであった。というのは単なる女性君主の夫という立場から、次代君主の後見人になるということを意味するからだ。

マリーは、かつて自分をフランスに売ろうとした大商人や取り巻き貴族たちで構成される議会にも足を運んで、夫との仲を取り持った。

二人が国内を行幸すれば誰もが微笑み返したもので、マリー女公に対して国民は、「我らの麗しき姫様」と呼んだ。



巡幸先の都市の街路にはいつも評判の夫妻を一目見ようと人だかりができた。その中に、皮肉めいた笑みを浮かべる黒衣の貴紳がいるのを誰が気にとめたであろうか。

「これから優雅な戦いをお見せしましょう、フランス流のね」

コミーヌが恭しく一礼して群衆の中消える。みていた子供が、「そこにいた人が消えた」と両親に告げたのだけれども、皇子と女公を乗せた白い馬車に熱狂して取り合わなかった。



【登場人物】 

マリー公女:ブルゴーニュ公国シャルル突進公の一人娘。二十歳。

マクシミリアン皇子:神聖ローマ皇帝フリードリヒ三世の皇子。十八歳。後に「中世最後の騎士」と呼ばれる。マリー公女を妃としてブルゴーニュの共同統治者となる。

ザウアとネッケ:神聖ローマ帝国騎士。

マルグリット:ブルゴーニュ公妃でマリー公女の継母。

コミーヌ:ブルゴーニュ公国元家臣でフランス王国に寝返る黒衣の貴紳。

ルイ十一世:蟇蛙のような容貌をもつ。息子はシャルル八世。妻はシャルロット。

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