伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 午後のふりん/掌編小説
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

午後のふりん/掌編小説

年号が大正から昭和になったばかりの頃、小高い丘の上に「白亜御殿」という洋館があった。大理石を積み上げた二階建ての建物だ。玄関の上がバルコニーになっていた。洋館の主は産業資本家と呼ばれる人。昨今は名誉が欲しくなって衆院議員にもなっている。格好をつけてカイゼル髭を生やしているけれど、背が低い。山猿のような容貌。それが私の夫だった。


掌編あまみの劇場
午後のふりん

奄美剣星

お大尽の殿方は、若いときは多くの女性と戯れて、四十くらいになってから所帯をもつということは珍しくなかった。そういう時代で、私が嫁いだのは二十歳のときだ。


夫は事業に夢中で、すぐに私に飽きた様子。月のうち、二三回帰ってくる程度になっていた。



名士は、ステータスとして書生を養う。貧乏だけれども利発な若者をみつけてきて、屋敷に住まわせ、生活費・学費を出してやる。学校を卒業すると、事業の片腕にしたり、あるいは、世に送り出してさらなる名誉を得るというわけだ。書生の名前は風見翔。事業に失敗し破産した子爵家のご子息で、ピアノが得意な十六歳の子。私のピアノの先生でもあった。


今も思い出すの。肩の線が細くってね、色白で綺麗な子だった。天使というものが本当にいるのなら、きっと彼みたいな姿をしているに違いない。



秋が始まったばかりの頃よ。二階の螺旋を階段を上がって、バルコニーが付設された板の間に入る。そこにグランドピアノがあった。午後の日課は、風見君にピアノを習ったもの。忘れもしない、その日は『エリーゼのために』を弾いていた。


風見君は教え方が上手だった。ときどき、間違った鍵盤に私の手が行くと、微笑みながら手を正しいところに持って行ってくれたの。私は心臓がどきどきして止まらなくなった。レッスンを終えて立ち上がろうとしたとき、立ちくらみを覚えて床に倒れた。


「大丈夫ですか? 奥様?」


風見君は、私を見るなり、顔を真っ赤にして後ろを向いた。私は和服を着ている。だから洋風の下着はつけない。脚の付け根がはだけてみえてしまったのだと思う。でもいいの、風見君なら。着物は乱れたままだ。目を閉じて、倒れた私に手を差し伸べてきた風見君を、その中に誘い込む。


「なっ、なりませぬ。奥様!」


「私がお嫌い?」


「そんなことは――」


風見君は、私が首に絡めた両腕から逃れようとするのだけれども、逃がしはしない。私は少年の唇を奪う。なおも逃れようとするので、二人は乱れた格好で床を転がった。彼の着物も乱れた。私の着物は、なおもはだけた。乳房が露わになる。両腿の間に、愛しい人が収まった。

勢い――。

ぬらぬら、とした感じを覚えた。


「あっ……」




















































応接テーブルの上に置いたプリンが落ちてきたのだ。


午後の――



とろけるみたいよ~。

(らったらったら~♬)

弾んで揺れて~。

(らったらったら~♬)

グリコ自慢の~。 

(プッチ~ン♪)

プッチンぷりんだよお~♬


(1970年後半、グリコのプッチンプリンCMソングより)



※ 著者の手の内を看破しつつ、最後まで読んで下さった皆様に、感謝いたします。またも思わせぶりなわりに内容のない掌編を書いてしまった。文体診断ロゴーンはABAA。しょうもない話ほど、ノーベル文学賞受賞者である川端康成クラスの高得点をとるのは何故……。

つぎから真面目に書くぞお。


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theme : 自作小説(ファンタジー)
genre : 小説・文学

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comment

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No title

(・∀・)アヒャ!!・・

( ;´Д`)いやぁぁぁぁぁー!
プッチンプリン好きなのに(笑)

くろこ姫様

それはそれは
失礼いたしました
ではハウスので
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