伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 第4回/夢世界アマミ国日記(脳細胞融解系小説)
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

第4回/夢世界アマミ国日記(脳細胞融解系小説)

文鳥貴族 

脳細胞融解系小説
夢世界アマミ国日記
 

奄美剣星

第4回


アマミ急行は、アマミ港から国内最大の都市「商都」を結んで、その先も路線が存在する。どこまで続いているのか判らない。恐らくは夢世界を突き抜け、さらに別な世界に行くようなする気がする。想像すると恐ろしいことになりそうなので僕は未だ終点まで行った試しがない。

白いスーツの老紳士、銀髪の若者、それに十歳に満たない姿になっている僕の三人を載せた列車が「商都」を目指す。

席は対面式のボックス席だ。煉瓦造りの倉庫群が建ち並ぶ運河、町工場。高架式の路線上を列車は行く。

売り子の女性が僕たちの席にやってきた。王様とシルフィーは珈琲を、僕は椰子の実ジュースを頼んだ。トレイに載せたまな板の上で、椰子の実の頭を鉈で削って穴を開けそこにハイビスカスの花と曲がったストローを添える。出されたジュースは、やたらに甘いミルクのような味がする。

僕が席に備え付けてあるテーブル椰子の実を載せストローでジュースを吸っていると、売り子が王様を注視していることに気付いた。何か良くない前触れだ。

「あっ、王様だ!」

案の定、車内は大騒ぎになる。

「祝福の口づけをしてください」

「王様がいない八年間、寂しかったよう」

「八年分、まとまてキスして下さらないと承知しませんわよ」

王様は、蜂鳥に姿を変えて、忙しく『祝福の口づけ』に動きまくった。頭だけは人間の姿のままだ。ホバリングして国民である老若男女を問わずにキスして回っている。王様にとっては、義務であり、『祝福の口づけ』を求めるのは国民の神聖なる権利のようだ。

銀色髪のシルフィーがSEIKOの腕時計をみやった。「午後三時か。『浮島』の時間だな」とつぶやき、窓の外をみやる。するとどうだろう、一辺一キロはあると推測される天空に浮かんだ岩の塊が姿を現したではないか。シルフィーが『浮島』と呼ぶ巨大岩塊表面は鬱蒼とした樹木で覆われ森になっている。

「浮島? うおっ、『天空の城ラピュタ』みたいだ。宮崎アニメかよ!」

浮島から、サーフィンに乗った白い肌をした少年が飛んでくる。十五歳前後というところだろうか。頭には月桂冠、腰を布一枚で隠したギリシャ彫刻のような格好だ。
勝手に車窓が開く。

「やあ、蘭丸君」

「王様、お時間でございます」

王様が白いスーツの老紳士姿に戻った。王様は口元を歪め、蘭丸少年が差し出した手を取って。サーフィンに乗り移ると、天空にそびえる「浮島」へと消えて行く。

「それでは皆の者、また会おう!」

王様の高笑いがしばし木霊する。

列車に残された人々は、

――ああっ、王様が行っちゃったあ。

とべそをかきだす。

シルフィーと僕は席に就いたまま飲み物の残りを口にしていた。

「ねえ、シルフィー、蘭丸って何者? 二人は『浮島』で何をするの?」

銀色紙をした若い青年家臣は問いに答えず、

「これさえなくば聖人君子に名を連ねようものを」

と冷やかにつぶやき一気に珈琲を飲み干す。

だんだん街並みが込み合ってきて摩天楼が迫ってくる。アマミ急行の「列車は、『商都駅』に間もなく到着します」というアナウンスが流れてきた。



(つづく)



【登場人物】

王様(白い文王) : 夢世界アマミ国の王。白文鳥の姿で奄美に飼われていた。

シルフィ― : 王様の臣下。

僕(奄美) : 帰国する王様に同行し、八年ぶりに夢世界に訪れる。十歳弱の姿になる。

ワタリ : 賊将マサムネの部下。

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genre : 小説・文学

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