伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 第3回/夢世界アマミ国日記(脳細胞融解系小説)
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

第3回/夢世界アマミ国日記(脳細胞融解系小説)


脳細胞融解系小説
夢世界アマミ国日記

奄美剣星

第3回

入り江の中にいくつもの埠頭がある。アマミ港は比較的大きな港だ。船員が煙突を登っていって、てっぺんのところで声をあげた。というよりは文鳥のさえずりのようなもので、シルバー文鳥風のシンセサイザーのようであったり、白文鳥風の琵琶とピッコロを合わせたような響きでもあった。

船は埠頭にぴたりと接岸はしない。数隻のぽんぽん船に分乗した港湾係員が、桟橋の代わりに、一辺二メートル前後の四角い板状をしたプラスチック製である「浮き」を並べだした。「浮き」はぴったりと敷き詰めているのではなく、「飛び石」状をなしている。「浮き」と「浮き」の間隔は五十センチ前後というところだろうか。



埠頭には黒いスーツにミニスカート、頭にちょこんと制帽を載せた年若い検査官が、メガホンで船の乗客たちに呼びかける。

「これから入国審査を行います。入国希望の方は『浮き』を飛びながらこちらにおいで下さい。海に落ちた方は残念ながら強制送還。では皆様の健闘をお祈りいたします」

王様がまずお手本で、『浮き』を軽やかに跳んでゆく。埠頭のところにくると女性検査官が片目をつぶってささやく。

「私の王様、祝福の口づけをくださいな」

王様はにかんで女性の髪を優しく撫でながら甘くみ耳元にこうささやく。

「ますます君は美しくなった。ささやかな祝福を贈らせて貰うよ」

手の甲、額、頬、首筋、そして最後は抱擁して唇にした。長い時間だった。

――うおおおっ、すんげえグラマー美人!

男性乗客たちが、どっと、『浮き』に群がり、バランスを崩して海に投げ出される。

「はい、強制送還三百名様。出直していらっしゃい」


埠頭に備え付けられたアームが伸びてきた、浮き沈みをしている人たち「強制送還者」の頭上から投網を拡げて回収し、フェリーの甲板に落した。なんとも荒っぽい。

王様が検査官にいった。

「最近、強制送還者が多いねえ」

「『現実世界』ではネットシステムが浸透したため、住民は不眠症になる人が多いようです。ちゃんと睡眠をとっていれば埠頭までたどり着けるのですけれどね」

王様たちが世間話をしている間に、僕とシルフィーの順番になる。シルフィーが僕を促すように、リズミカルに跳んで行くので、僕も真似て、海上に並べられた「浮き」を渡って何とか埠頭にたどり着くことが出来た。

王様同様、検査官に、シルフィー、それに僕は祝福の口づけを贈った。アマミ国では、上陸の際の儀式というか、マナーであるらしい。



下船したフェリーの乗客たちは埠頭から港町に歩いて行く。王様、シルフィー、それに僕の三人もその中にいた。繁華街があり、ビジネスホテルなんかも沢山並んでおり、作業着姿の人々が、がやぎがやと埠頭に向かっている。僕たちと入れ替わりにフェリーに乗り込むらしい。

「よし、八年間、出稼ぎ頑張るぞ。外貨獲得!」

労働者たちはそんなことを口にしている。
僕は何気なく、街角に立ててある凸面鏡をみやると、人間だと思っていたのは、桜、白、シナモン、シルバーといった文鳥の群れだった。尻尾を左右に振りながら、ぞろぞろとフェリーに乗船してゆくのだった。

銀色髪のシルフィーが切符を王様と僕に手渡した。「アマミ港駅」始発の電車が待っており、それに乗り込む。例のごとく文鳥がさえずるような汽笛をあげて、電車は街中に走って行くのだった。

(つづく)



【登場人物】

王様(白い文王) : 夢世界アマミ国の王。白文鳥の姿で奄美に飼われていた。

シルフィ― : 王様の臣下。

僕(奄美) : 帰国する王様に同行し、八年ぶりに夢世界に訪れる。十歳弱の姿になる。

ワタリ : 賊将マサムネの部下。

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theme : ファンタジー小説
genre : 小説・文学

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