伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 第2回/夢世界アマミ国日記(脳細胞融解系小説)
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

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第2回/夢世界アマミ国日記(脳細胞融解系小説)

    

脳細胞融解系小説
夢世界アマミ国日記

.
奄美剣星

第2回
 

フェリーはとても大きなもので、五百人くらいは乗っていたであろうか。桟橋で僕たちを出迎えたのは、銀色の髪と瞳をした長身の若者だった。

「王様、お久しゅうございます。お待ちしておりました」

「シルフィー君か、元気そうで何よりだ」

僕が王様に、「誰?」と訊くと、王様は、「家臣だ」と答えた。シルフィーと呼ばれた青年は華やかで、歩き方からしてステップをするように軽やかだ。先を歩いて僕たちを船内に案内する。

客室は特等室、一等室、二等室の三種がある。もちろん僕と王様は特等室に入った。

娯楽室で映画をみたり、ラウンジで飲み物を飲んだりして時を過ごす。デッキで潮風にあたっていると、海豚《いるか》が船を追いかけてくるという一幕もあった。



P5030060_convert_20110504030930.jpg

僕と王様を載せたアマミ国行きのフェリーは、小笠原諸島の硫黄島を越えたあたりで、渦を巻いたように何回か回転したかのような感じになった。方向感覚が狂った。それからまた不通に動き出す。けれども、王様にいわせれば、「アマミ国の領海に入ったのさ」とのことである。やがて朝を迎えた。

王様に手をひかれてデッキに立っていると、海の彼方から、エイの形に似た黒い水中翼船が猛スピードで接近。後方から右側面に体当たりを喰らわせた。水しぶきがあがり、衝撃でフェリーが激しく揺れる。

水中翼船には、海賊ものの映画にでてくるような恰好をした男が乗っていて、拡声器《メガフォン》でわめいている。

「白い文王に告ぐ。アマミ国を主公《わがきみ》にお譲りするのだ」

水中翼船が最接近して体当たりを食らわせようとした。僕が震えているとシルフィーが僕の背中を抱きしめて髪を撫でる。

「大丈夫、坊ちゃん。王様がなんとかなさる」

「白い文王」と呼ばれた王様が、「生憎《あいにく》だな、ワタリ」といって白い歯をみせる。王様が羽ばたかせた腕は翼となり大鷲に変身し、海面の水中翼船を変化させた爪足にひっかけるや、宙空に舞い上がって、船もろとも海面にぶつかる寸前。大鷲は放物線を描いて急上昇、水中翼船は海面にぶつかって大破する。

――おおっ、必殺技のイヅナ落しだ。王様万歳!

フェリーの乗員乗客が歓声をあげた。

壊れた船体の上に立ってワタリが拡声器で吠えた。

「白い文王、覚えてろよ!」 

王様はデッキに舞い降りて人の姿に戻った。

「明日からまた楽しい一日が始まる。私にとっての過去とは、打ち上げを終えた花火の記憶に過ぎない」

海賊船船長ワタリに軽く言い返すのだが、海上の残骸はどんどん遠ざかって行くので、訊こえたか否かは定かではない。シルフィーによると、ワタリは、マサムネの部下で王様をつけ狙っているのだという。

「マサムネ?」

「賊将です。そのうち会うことになりますよ」

銀色髪のシルフィーが苦笑した。



やがてフェリーの行く先に陸地が姿を現し、大きな入り江がみえてきた。入り江に入ると、奥に、アマミ港が望めるようになる。アマミ国唯一の港だ。

(つづく)




【登場人物】

王様(白い文王) : 夢世界アマミ国の王。白文鳥の姿で奄美と八年間暮らしていた。

シルフィ― : 王様の臣下。

僕(奄美) : 帰国する王様に同行し、夢世界に訪れる。十歳弱の姿になる。

ワタリ : 反徒の賊将マサムネの部下。

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genre : 小説・文学

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