伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 美文塾/『文体診断ロゴーン』を使っての文豪解析
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

美文塾/『文体診断ロゴーン』を使っての文豪解析

.

文体診断ロゴーン
というサイトがある。自分の文章をブログなどから転載すると、文章力を診断してくれるというものだ。「文章の神様」と呼ばれる志賀直哉と、太宰治の文豪二人を例に挙げてみたい。



志賀直哉 『暗夜行路』より

謙作はふと、今見ている景色に、自分のいるこの大山がはっきりと影を映している事に気がついた。影の輪郭が中の海から陸へ上がって来ると、米子の町が急に見えだしたので初めて気付いたが、それは停止することなく、ちょうど地引網のように手繰られて来た。地をなめて過ぎる雲の影にも似ていた。中国一の高山で、輪郭に張切った強い線を持つこの山の影を、そのまま、平地に眺められるのを希有(けう)の事とし、それから謙作は或る感動を受けた。  
 
文章評価評価項目評価とコメント

1 文章の読みやすさ……D 一文がやや長い
2 文章の硬さ…………… A 適切
3 文章の表現力…………A とても表現力豊か
4 文章の個性……………A とても個性的

得点詳細

平均文長……………素点68.67/偏差値56
平均句読点間隔……素点17.17/偏差値49
特殊語出現率………素点10.29/偏差値45
名詞出現率…………素点24.26/偏差値39
動詞出現率…………素点13.24/偏差値74
助詞出現率…………素点33.09/偏差値70
助動詞出現率………素点9.56/偏差値38
ひらがな出現率……素点53.68/偏差値49
カタカナ出現率………素点0/偏差値42
異なり形態素比率…素点57.35/偏差値111



太宰治『走れメロス』より

メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此のシラクスの市にやって来た。メロスには父も、母も無い。

文章評価
評価項目評価とコメント

1 文章の読みやすさ……A とても読みやすい
2 文章の硬さ…………… E 文章が固い
3 文章の表現力…………A とても表現力豊か
4 文章の個性……………A とても個性的

得点詳細

平均文長……………素点21.57/偏差値39
平均句読点間隔……素点10.07/偏差値30
特殊語出現率………素点15.15/偏差値63
名詞出現率…………素点26.77/偏差値45
動詞出現率…………素点8.08/偏差値39
助詞出現率…………素点26.26/偏差値32
助動詞出現率………素点14.14/偏差値60
ひらがな出現率……素点46.97/偏差値34
カタカナ出現率………素点0/偏差値42
異なり形態素比率…素点49.49/偏差値97



志賀直哉と太宰治を比較すると、読み易さで志賀がD、太宰がA。柔らかさで志賀がA、太宰がE。美文にするには易さか柔らかさのどちらかを取捨選択していることが判る。

志賀は読みやすさを捨てて文章を柔らかくし、太宰は逆に読みやすくする代わりに文章が硬くなっている。要は文章を長くすると読みにくくなるが文体は滑らかになり、短くすると読み易くなるが文体が硬くなるということだ。

文章表現力・個性というのは、ボキャブラリーの豊富さというところであろうか。

それでは、文豪二人の名文と拙文とを比較してみるとしよう。



奄美剣星 『火車』より

 大唐の都長安は、中央の朱雀門街を挟んで東西に各五十四坊を数える条坊都市で、四辺を囲む城壁内部の条坊をも牆壁で仕切っていた。刻限となれば各条坊の門は閉じられ市民はそれまでに帰宅せねばならず、うかうかとしておれば締め出されてしまう。
 東市は九坊からなり、軒を連ねた商店街には、畿内で産する穀物から、織物や陶磁器類などの生活雑貨、全国各地から取り寄せた特産物の珍品が並び、合間には花街やら飲食店も混在している。
 
文章評価 評価項目評価とコメント

1 文章の読みやすさ……C 一文がやや長い
2 文章の硬さ…………… C 適切
3 文章の表現力…………A とても表現力豊か
4 文章の個性……………A とても個性的

得点詳細

平均文長……………素点44.13/偏差値47  ☆
平均句読点間隔……素点16.81/偏差値48  
特殊語出現率………素点11.01/偏差値48
名詞出現率…………素点29.52/偏差値52 △
動詞出現率…………素点11.01/偏差値59  △
助詞出現率…………素点31.28/偏差値60 △
助動詞出現率………素点9.56/偏差値38  △
ひらがな出現率……素点53.68/偏差値49
カタカナ出現率………素点0/偏差値42
異なり形態素比率…素点53.74/偏差値104



う~む。文豪二人と比較すると拙文は半端っすねえ。美文への道は、長文か短文かの思い切った二者択一ですよお。(笑)

佐藤と中居
「佐藤と中居』 2010年 水彩




追 記

そして、これがノベール賞の文体だ!

   ~でもどうせ書けっこないから、絶対に真似するな、とも添削講座講師から助言を受けた名文。



川端康成著『雪国』 より

 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。
 向側の座席から娘が立って来て、島村の前のガラス窓を落した。雪の冷気が流れこんだ。娘は窓いっぱいに乗り出して、遠くへ叫ぶように、
「駅長さあん、駅長さあん。」


文章評価 評価項目評価とコメント

1 文章の読みやすさ… A とても読みやすい
2 文章の硬さ …………B 文章がやや柔かい
3 文章の表現力 ………A とても表現力豊か
4 文章の個性 …………A とても個性的


☆  



演習

アバター



演習1

今しがた、川端康成、太宰治の上記文を模倣して、あびにゃんこさんの記事へのコメントをロゴーンにかけてみた。文章評価はADAA。 

 「現代は、昔日よりも沐浴をする人は減ったといいます。英国人が、ガンジスを筏くだりをする、ドキュメント記事があり、こんな描写がありました。
 川の水で炊事をしていると、水葬にした遺体が、横をかすめてゆく、と――。 」



演習2

同様に、灰猫さんへの記事へのコメントをロゴーンにかけてみた。文章評価はACAA。 

「昔、現地事務所に、ラテン系な建設会社の人がいて、人だしの仕事しており、潰れてしまった前の職場の話をしました。前の職場というのが、フィリピンパブで、十人近く面倒をみていたのだとか。
(フィリピン女性は風呂というものに入らず、だんだん汚れてくる。雨が降ると外に出て身体を洗い出す。というのは、現地では、夕方に必ずスコールがあるからだ)
 そんなふうにいっていましたよ。」



最後に(でもね)

ブログによくコメントしてくださる方いらして、私の記事の前文記事をご覧になり、「テキストの太宰治の『走れメロス』は確かに短いが、『斜陽』の冒頭は長いではないか。また、「美文よりも作家のポリシーが重要だ」と反論とわが駄文に対する慰め文があり、次に、その返事を以下に示して、結びとしたい。

 「
 『斜陽』は『走れメロス』よりも後の作品でしたね。ご承知のように太宰は、川端康成などの文壇に影響を与える大物に嫌われていたため、不遇で、芥川賞に受賞できるよう試行錯誤で文体をかえていったのだと思います。
 思想的に言うと、これら文壇の方のポリシーは歪んでおり、あまり好きではありませんけれど、作品にはそれぞれ時代の香りというものを感じる次第。
「日本文学最高峰」とも「文章の神様」ともいわれた志賀直哉の有名なエピソードに、こんなのがありますよね。敗戦まもないころ、「日本語を廃止して洗練されているフランス語に改めるべきだ」と発言して、「文章職人ではあるが哲学がない俗物だ」と世の失笑を買ったのだとか。美文は凡俗を隠す」というわけです。
 作家の精神と文章の関係は、侍と刀の関係に例えることができるのではないでしょうか。 ゆえに管見を通しますと、へなちょこ侍でも名刀を手にすれば、剣聖にも見え得る、と愚考いたします。」




先ほど別サイト常連のあおい様から、オールAの作品があるとの、ご紹介がありました。詩です。

『Rouge』
  http://ajisai-to-sizuku.image.coocan.jp/poem/subtle/rouge.html

下記は、上記ご助言に対するレス。



なるほど素晴らしい詩ですね。

詩人が部屋に入る。すると、恋人は鏡台の椅子に腰かけている。口紅を塗っている。詩人に気付かぬほどに、夢中になっている。一緒に暮らしているけれど、そんなところは見たことがない。美しい。釘付けだ。やがて彼女は気がつき恥らって、鏡の間から逃げてゆく。けれども詩人のなかには姫君の肖像画が残された。

究極の美文は、韻を踏んだ詩のような文章らしい。なるほど川端の短編小説の本質は、小説ではなく詩である、と評されるところ。納得いたしました。テキストの詩をつかい、要旨を書いてみました。AAAAです。

スポンサーサイト

theme : ファンタジー小説
genre : 小説・文学

line

comment

Secret

line
line

line
Google ペイジランク
ページランク-ナビ
line
奄美剣星
line
文鳥貴族
文鳥貴族
line
最新記事
line
「怪盗めろん」

 

line
「文鳥王トリスタン」
 
line
ブクログ
line
小説家になろう
line
amazon書籍
line
アルパカ版の恋太郎です
line
映画『副王家の人々』より
副王家の一族 
line
イアリング
 ekubo
line
チャイナドレス
chainadoress
line
ポーズ
sofa
line
魯迅記念博物館
inu
line
陽だまりの乙女
usagi
line
裸婦
うつぶせのジャスミン
line
sakasu
line
打ち上げ花火をあげられる四季の風景時計
line
PC広告Amazon
line
テーブルと椅子
椅子3   
line
sub_line
プロフィール

奄美剣星 (狼皮のスイーツマン)

Author:奄美剣星 (狼皮のスイーツマン)
1930年前後の歴史推理小説 シナモンと素敵な旅をどうぞ

line
ranking 1
 
line
ranking 2
人気ブログランキングへ
line
置手紙
おきてがみ     
line
Twitter ぼたん
Sweetsman7をフォローしましょう
line
レッドバロン
line
検索フォーム
line
QRコード
QRコード
line
所収作品について
文献・画像等引用の場合は引用元を記載。自作小説倶楽部作品著作権は各著者に帰属。それ以外の文藝作品・絵画写真画像に関する諸権利は当該ブログ管理人に帰属。無断複写転載を禁じます。
line
カジュアルのシナモン
シナモンアップ 
line
リンク
line
マラッカ要塞
marakka
line
珈琲館の割れ甕
城南
line
地図
line
草原の乙女
sougenn
line
バー
eruhurio  
line
海へ行こう
umiheyuku2
line
祖母
  umiheyuku 1
line
洗い髪
araigami
line
癒しの音楽
line
sub_line