伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 二十号文書6 伯爵令嬢シナモン
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

二十号文書6 伯爵令嬢シナモン

歴史推理小説
Lady Cinnamon. Part Ⅳ.
(『伯爵令嬢シナモン』第4部)

「二十号文書」No.5

第1章 押し込まれた手紙(5)


白い帽子、顎鬚、眼鏡。レスラーのように逆三角形をしたプロポーション。ロシア人は座席にもたれて軽くいびきをかきだした。狸寝入りかもしれない。

家宰が荷物の番をするといって客車に残り、他の一行が食堂車に向かう。この時代の洋食といえば、当たり前のようにカレーライスがある。ワインは置かれてはおらず、濱田教授と川島芳子はビールを頼む。シナモンは紅茶を、ドロシーは珈琲を注文した。

肩のところで髪をそろえた芳子が、窓際の席に向かい合っているシナモンとドロシーをみて噴き出す。

「貴女たちって典型的なイギリス人とアメリカ人だわ」

芳子は、伯爵令嬢とその執事の飲み物に関する嗜好を『ボストン・ティーパーティー』と評した。



ボストン・ティーパーティーは、ボストン茶会事件と訳される一七七三年にアメリカ・マサチューセッツ州ボストン市で起きた騒動だ。

フレンチ・インディアン戦争に勝った宗主国イギリスが、植民地にさまざまな重圧を課した。イギリスが目を付けたのが需要が多かった紅茶。植民地側はオランダから紅茶を密輸して対抗する。イギリス政府の下部機関、東インド会社も負けてはいない。紅茶を半値で売り出し市場を独占しようと巻き返したのだ。

危惧した怒った関係者たちがインディアンに変装して、ボートで停泊している交易船を襲撃。紅茶樽を港湾に投げ捨てて、海面を紅茶色に染めた。

事件が引き金となり、宗主国に対して鬱積した不満をもつ植民地側は、長期にわたる独立革命へと突き進む。

以降アメリカ人は、久しく紅茶を飲む習慣がなくなって珈琲を飲むようになった。珈琲が買えない低所得者層は、黒色処理した日本の緑茶を買って飲んでいたほどだ。



車窓の外には静岡の茶畑が連綿と続いている。

  【登場人物】

シナモンアップ
レディー・シナモン:イギリス女性考古学者。「コンウォールの才媛」の異称がある。

P4240005.jpg
ドロシー・ブレイヤー:伯爵家の若い執事。アメリカ女性考古学者。

ウルフレザー:伯爵家老家宰。シナモンの守役。 

濱田耕作博士:考古学者。後の京都大学学長。戦前における日本考古学界の巨頭であった。

川島芳子:女優。清朝皇族粛親王の第十四王女、愛新覺羅顯㺭《あいしんかくら けんし》。日本人の養女となる。

甘粕正彦《あまかす まさひこ》:予備役大尉。後に諜報組織「甘粕機関」を立ち上げる。

イワン:ロシア人。事件関係者のようである。



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