伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 お爺さんのカヤック1/3 恋太郎白書105
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
line

お爺さんのカヤック1/3 恋太郎白書105

昔、恋をしてはふられてばかりいる若者がおり、人は指を差して恋太郎と呼んだ。花や紅葉が、はらはら、と漂う、そんな若者であった。

恋太郎が小学生の時のことだ。母の友里恵が病気のため療養が必要になった。夏休みの少し前、父の勇作は、恋太郎を叔父である耕作《こうさく》に預けた。恋太郎からみたら耕作は大叔父にあたる。そして夏休みが始まろうとしていた。いや、実質的には始まっていたといっていい。

「恋太郎、川下りにいくぞ」

「宿題は?」

「あとにしろ。くだらん」

昼時、修業式を済ませて帰宅すると、伊達なサングラスをかけたお爺さんがワゴンにカヤックを積み込んでいる。カヤックの次は、シェラフにテントといったアウトドアグッズ一式を放り込み、最後に飼っている文鳥のメロンが入った鳥籠まで詰め込んだではないか。恋太郎は放り込まれるように助手席に座らされた。

 エンジン始動。

 BGM ON!
 
      Well  deep down in Lou' sina colse to New  to  New  orleans
      way  back  up  in  the  wods  amaongu  the  ebergreens
      there  stood  an old  cabin  made  of  earth  and  wood
      Where  I lived  a  country  boy  named  johnny  B.Goode  
      Who,d  never ever  learned   to   read
      But  he  could  play  a  guitar  just  like  a  ringin'
 
      Go! Go! Go! Jhonny GO! GO! 
      Go! Go! Go! Jhonny GO! GO!
      Go! Go! Go! Jhonny GO! GO!
    Johnny B.Goode
 
「お爺さん、なに、この曲?」
 
「CHUCK BERRYの〝Johnny B.Goode〝だ。古い曲だがノリがいい」

人間二人と文鳥一羽、それにカヤックを乗せたワゴンは、ロックンロールをボリュウム一杯にして、山荘から川にむかって降りていった。

カヤックは組み立て式だ。お爺さんはワゴン車を水際まで寄せて、カヤックの部品が詰まったバックを降ろし川原で組み立てた。手慣れたもので十分くらいで組み立て完了。
 
舟にアウトドアグッズ一式を、コクピットの前後にある収納スペースにしまい込む。それから車を水辺から離したところに駐車させると、恋太郎はコクピットの前部席に乗せられ、お爺さんが後部席に陣取った。文鳥のメロンは宗司と同じ前部席だ。

「出発、進行!」

人間二人と文鳥一羽が川をくだりだ。嫌がるかと思っていたメロンは舟旅が気に入ったらしくずっとさえずっている。野鳥の鳴き声がひっきりなしにするからだろうか。
メロンは、お爺さんと恋太郎が〝Johnny B.Goode〝を唱うので、二人の歌声にあわせてさえずった。

お爺さんはメモ帳と鉛筆を恋太郎に手渡しいった。

「このメモ帳は野帳《フィールドノート》といってな、防水しようになっている。気づいたキーワードをメモしていくといい。例えばカヤックを降ろした場所は、煉瓦橋のある狐浜。カヤックに乗ったのが二時、いまが三時。そんな具合に、時間と現在地をメモするのもいい。情景はキーワードをみて思いだせ。石の大きさを覚えてろ。上流、中流、下流にある石だ。流れもだ。魚や鳥の種類や様子も観察しろよ」

恋太郎は、いわれたように、キーワードをメモしていった。揺れるので少々書きづらい。
 
川を下っていくとあちこちの川原で色とりどりのテントがはってあり、まるでインディアンのテント集落のようにみえた。たまにカヤックですれ違うと、カヤック乗りたちは気さくに声をかけてくる。

「こんにちは、どちらまで?」

「河口までです」

「いや、お若い。体力がおありですね」

「まだまだですよ」 

そんなやりとりが何回か繰り返された。水面を多数の小魚が跳ねる。岩にとまる鷺《さぎ》、川を横切るカワセミ、そして川原をちょこまかと駆けるセキレイ。すべては自分たちと同じ目線。対等になった感覚があった。

お爺さんは、川の流れでも勢いのある激流《ジェットストリーム》を選んでくだっていく。そのときだ、恋太郎が少し先に白いしぶきがあがっているのをみつけた。ビニール製の船底がぼこぼこと激しく波を打っている。

「危ない、お爺さん、岩だ。ぶつかっちゃうよ!」

スポンサーサイト

theme : 自作連載ファンタジー小説
genre : 小説・文学

line

comment

Secret

line
line

line
Google ペイジランク
ページランク-ナビ
line
奄美剣星
line
文鳥貴族
文鳥貴族
line
最新記事
line
「怪盗めろん」

 

line
「文鳥王トリスタン」
 
line
ブクログ
line
小説家になろう
line
amazon書籍
line
アルパカ版の恋太郎です
line
映画『副王家の人々』より
副王家の一族 
line
イアリング
 ekubo
line
チャイナドレス
chainadoress
line
ポーズ
sofa
line
魯迅記念博物館
inu
line
陽だまりの乙女
usagi
line
裸婦
うつぶせのジャスミン
line
sakasu
line
打ち上げ花火をあげられる四季の風景時計
line
PC広告Amazon
line
テーブルと椅子
椅子3   
line
sub_line
プロフィール

奄美剣星 (狼皮のスイーツマン)

Author:奄美剣星 (狼皮のスイーツマン)
1930年前後の歴史推理小説 シナモンと素敵な旅をどうぞ

line
ranking 1
 
line
ranking 2
人気ブログランキングへ
line
置手紙
おきてがみ     
line
Twitter ぼたん
Sweetsman7をフォローしましょう
line
レッドバロン
line
検索フォーム
line
QRコード
QRコード
line
所収作品について
文献・画像等引用の場合は引用元を記載。自作小説倶楽部作品著作権は各著者に帰属。それ以外の文藝作品・絵画写真画像に関する諸権利は当該ブログ管理人に帰属。無断複写転載を禁じます。
line
カジュアルのシナモン
シナモンアップ 
line
リンク
line
マラッカ要塞
marakka
line
珈琲館の割れ甕
城南
line
地図
line
草原の乙女
sougenn
line
バー
eruhurio  
line
海へ行こう
umiheyuku2
line
祖母
  umiheyuku 1
line
洗い髪
araigami
line
癒しの音楽
line
sub_line
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。