伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 エコー 恋太郎白書90
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

エコー 恋太郎白書90

 昔、恋をしてふられてばかりいる若者がおり、人は指を差して恋太郎とよんだ。花や紅葉が、はらはら、と宙に漂う、そんな若者だった。



ギリシャ神話に登場する絶世の美男子ナルシスが神に罰せられたのは、妖精エコーを傷つけたからだ。エコーは、オリンポス山の深い森に迷い込んだナルシスをみつけ恋をした。人の気配がしたので、ナルシスは、「誰かいるのか」と喜んで声をかけるのだが、返事をまねるばかりで、相手は言葉を返さない。

エコーは、妖精仲間が、(ナルシスは自分の美貌に釣り合う女性がこの世に存在しない)と噂しているの訊いている。それゆえに言葉をかわし、傷つけられることを恐れたのだ。

他方、ナルシスは深い森の孤独に耐えきれなくなり、
「頼むよ、でてきてくれ。でてきてくれたら結婚してもいい」と叫んでみる。

(ほんとうに?)

大木の陰に隠れていたエコーはでてきた。すると、孤独ではなくなったことに安堵したナルシスが、いつもの傲慢な青年に戻った。

「なんだ、妖精か。十人並みだな。好みじゃないよ」

エコーは恥ずかしさと、惨めさで身体がかすんでなくなってしまい、時折訪れる迷い人の声をまねるだけの存在となったのだという。

妖精仲間は、仔細を大神ゼウスに報告。ゼウスは若者に、自分しか愛せなくなる呪いを与えた。若者は泉に映った自身に恋し、抱きしめようとして、溺れ死んだ。ゆえに、泉の岸辺に咲いた花を水仙《ナルシス》と人は呼ぶようになったのだという。




故郷の深い森の奥に縄文時代の遺跡があり遺物が地表に露出している。サンプルとして収集するのが恋太郎の余暇の過ごし方の一つだった。

辺りをさ迷っていたとき、ギリシャ神話の一節を不思議と思い出した。ナルシスはともかく、エコーが気の毒となり、「いまでも愛している」と思わず吠えてみる。向かいの尾根から同じ言葉が返ってくるかと思っていたら、後ろから声がするではないか。

「説明して。誰を愛しているって?」

麻胡先生だった。二人が籍を入れてまだ日の浅いころの物語である

スポンサーサイト

theme : 自作連載ファンタジー小説
genre : 小説・文学

line

comment

Secret

line
line

line
Google ペイジランク
ページランク-ナビ
line
奄美剣星
line
文鳥貴族
文鳥貴族
line
最新記事
line
「怪盗めろん」

 

line
「文鳥王トリスタン」
 
line
ブクログ
line
小説家になろう
line
amazon書籍
line
アルパカ版の恋太郎です
line
映画『副王家の人々』より
副王家の一族 
line
イアリング
 ekubo
line
チャイナドレス
chainadoress
line
ポーズ
sofa
line
魯迅記念博物館
inu
line
陽だまりの乙女
usagi
line
裸婦
うつぶせのジャスミン
line
sakasu
line
打ち上げ花火をあげられる四季の風景時計
line
PC広告Amazon
line
テーブルと椅子
椅子3   
line
sub_line
プロフィール

奄美剣星 (狼皮のスイーツマン)

Author:奄美剣星 (狼皮のスイーツマン)
1930年前後の歴史推理小説 シナモンと素敵な旅をどうぞ

line
ranking 1
 
line
ranking 2
人気ブログランキングへ
line
置手紙
おきてがみ     
line
Twitter ぼたん
Sweetsman7をフォローしましょう
line
レッドバロン
line
検索フォーム
line
QRコード
QRコード
line
所収作品について
文献・画像等引用の場合は引用元を記載。自作小説倶楽部作品著作権は各著者に帰属。それ以外の文藝作品・絵画写真画像に関する諸権利は当該ブログ管理人に帰属。無断複写転載を禁じます。
line
カジュアルのシナモン
シナモンアップ 
line
リンク
line
マラッカ要塞
marakka
line
珈琲館の割れ甕
城南
line
地図
line
草原の乙女
sougenn
line
バー
eruhurio  
line
海へ行こう
umiheyuku2
line
祖母
  umiheyuku 1
line
洗い髪
araigami
line
癒しの音楽
line
sub_line