伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 方舟のファイサル10  恋太郎白書83
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

方舟のファイサル10  恋太郎白書83

むかし恋をしてはふられてばかりいる若者がおり、人は指を差して恋太郎とよんだ。花や紅葉が、はらはら、と宙に漂うかのような若者だった。 



ファイサルと名乗ったレバノンの青年は、偶然にここに入浴したのではなく、恋太郎とさしで話しがしたかったようだ。 ファイサルの体躯は大きくはない。どちらかといえば小柄だ。ファイサルには無駄なものが一切なかった。筋肉は最小限必要なものだけで、まるで登山家のよう。しなやかに伸びた四肢、プラチナのイヤリング、そして右肩に掘り込んだワンポイントの入れ墨《タトウー》、入れ墨はどういうわけだかスヌーピーとウッドストックが彫ってある。
 

(いったい、どういう奴だよ) 

ファイサルは蛇口を回して泡を流す。恋太郎もならって、シャワーを止めた。
 

「レンタロー、アヤノ好きか?」

「好きだよ」

「そうか」

すると、いきなり、ファイサルは恋太郎の横っ
腹に人差し指をあてて、「ぱあん」
 とつぶやいた。憎悪は感じられないのだが、かえって恋太郎に恐怖感を与える。

(何人も殺している。撃つときに感情がないんだ)

そいつは恋太郎の片目をつぶってから恋太郎の肩を叩いて先に出ていった。扉が閉まると、がたがた、膝が震えているのに気づく。



浴室からの帰りにデッキに行ってみた。二日めも昨夜と同じ景色だ。少し離れたところで口髭の音楽家が横笛を吹いている。安堵の吐息。すると後から声がした。

「いま、四国沖あたりかなあ」 

彩乃だった。綾乃は、
「朝はごめんね」と続けた。

「別に謝る事じゃない」 

「なんか、いろいろと迷惑をかけちゃったかもしれないわ」
 

「レバノン人、ファイサルっていうんだね。一緒にシャワーを浴びたよ」

彩乃は絶句した。

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genre : 小説・文学

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