伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 方舟のファイサル7 恋太郎白書80
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

方舟のファイサル7 恋太郎白書80

むかし恋をしてはふられてばかりいる若者がおり、人は指を差して恋太郎《れんたろう》とよんだ。花や紅葉が、はらはら、と宙に漂うかのようだった。



ひっぱたかれたレバノンの青年は片目をつぶって手を振りそこから女性二人を引き連れてデッキの方に行った。また二人にはなったのだけれども、気まずい空気だ。

「訊かないの?」

「いいたくないんだろ、いいよ」
 

「まだ他人だね」
 

彩乃はそういって化粧室に行ってしまった。ミュージックボックスに取り残された恋太郎は、肩のあたりからどっと疲れがのしかかってくるのを感じ大部屋に戻っていった。ゆっくり大きく船が揺れているのは外海を航行するからだ。がたがた鳴っているのは、フェリー船ゆえの特徴だ。

少し悪寒がする。途中、口髭の音楽家とすれ違った。笛の練習にデッキにいく途中だったようだ。音楽家はポシェットから錠剤をとりだし、
「船酔いだね。これやる、がんばれよ」と背中を叩きそれをくれた。

大部屋に入ると、中国人の老人が片手を上に伸ばしこちらをみて微笑んだ。 (起きあがりたい。手を貸してくれ)ということだろう。自力で起きあがることは困難なようだけれども、老人は足取りがしっかりしていて、ひょこひょこと部屋の外へ出ていった。

恋太郎は自分の場所に戻ると、すぐに横になった。大部屋の壁には小窓があってそこでは海水が、ばしゃばしゃ、絶え間なく、ぶつかってくるのが見える。横になりながら考えた。

(伸一君は彩乃さんが好きなのだろう。出会ったとき彩乃さんと一緒にいた。僕が横取りしたように写ったのかな。それにしてもひっぱたかれたレバノン人、彩乃さんとレバノン人とはどういう関係なのだろう)

薬が効いてきて恋太郎はそのまま眠り込んでしまった。






【脚注】

恋太郎《れんたろう》:大学卒業したて。私費留学生として客船鑑真号で上海に渡航中。

綾乃《あやの》:鑑真号で恋太郎に出会う名門大学出の令嬢。

ファイサル:美女たちと、部下を率いて乗船した謎のレバノン人青年。

愛矢《よしや》:恋太郎の幼なじみ。

麻胡《まこ》先生:恋太郎の高校時代の化学教師で憧れだった女性。

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