伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 方舟のファイサル1 恋太郎白書74
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

方舟のファイサル1 恋太郎白書74

方舟《はこぶね》のファイサル

むかし恋をしてはふられてばかりいる若者がおり、人は指を差して恋太郎《れんたろう》とよんだ。花や紅葉が、はらはら、と宙に漂うかのような若者だった。 



昭和天皇が崩御なされて年号が平成になった。のちに首相となる小渕衆議院議員が、(天平らかに地成る。地平らかに天成る)とテレビ画面で真新しく書かれた墨書を示してそう宣言し平成時代が始まった。とはいってもピンとこない。平成元年は西暦でいうところの一九八九年で、恋太郎にとってはこちらで思い起こしたほうが手っ取り早い。



その年は天安門事件があった。北京において民主化をもとめる学生が天安門広場で集会を開いていたら、軍部が鎮圧にでて、戦車をつかい、テントで野営していた学生達を、テントごとひき殺したあの忌まわしい事件。ほかの都市でも暴動と鎮圧はあった。上海でも暴徒化した市民がバスを焼いたりしている。もっともそれは春先の話し。秋に近くなったら沈静化しだいぶ静かになったようだ。それでもまだ用心してか成田と上海をつなぐ日航旅客機は一日三便あったのを二便にしたままにしていた。

史学科に在籍していた恋太郎にとって中国行きは、ちょっとした仕上げだった。史学を専攻したからといって専門機関の門は狭く、そちらへの就職はよほどのコネがない限りは不可能だ。とはいえバブル全盛期で、大卒の肩書きさえあればいくらでも求人はある。そんな安心感もあって民間仲介機関をつかって私費留学することになった。

欧米の留学とはちがい、夏冬のちょっとしたアルバイトの給料でも費用はまかなえた。

(天安門事件の後遺症が気にならないわけでもないがなんとかなるだろう)

ストーカーに恋人の雫を殺された喪失感を埋める旅。若かった。それに史学生は大なり小なり変人だ。自己満足でも達成感が味わえれば生命を落としてもいいとさえ思っていた。


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genre : 小説・文学

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