伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 雪が降っていたから外伝1/3 恋太郎白書70
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

雪が降っていたから外伝1/3 恋太郎白書70

むかし恋をしてはふられてばかりいる若者がおり、人は若者を指差して恋太郎《れんたろう》とよんだ。花や紅葉が、はらはら、と宙に漂うかのような若者だった。 



恋太郎の両親である勇作と友里恵が、単なる職場の同僚に過ぎないころの話だ。

職員旅行があり、国鉄上越線を蒸気機関車に牽引された列車で新潟行きの列車に乗り、国境である三国峠に近い水上駅で降りてそこに泊まることになった。

水上は、急峻な山々に囲まれた風光明媚な温泉街である。勇作の同僚教師である卓也などは、一か月分の給料ほどもするカメラであたりを写真に収めていたりしていた。

「友里恵先生、こっち向いて。吾郎先生は邪魔、ちょっとどいてくださいよ」

「卓也先生、そりゃ酷い」

生真面目な教頭が校長にいった。

「ちょっと、はしゃぎ過ぎでは?」

「たまにはいいじゃないですか。それより、碁でもやりませんか」

水上は、大学の登山部に属していた勇作にとっては思い出深い場所で、谷川岳や武尊山には何度も登頂したものである。

冬の武尊山を登って、中腹にあるマタギの古老の小屋を訪れて鹿汁をふるまわれたり、凍えそうになりながら下山してきたとき、駐在所の巡査の紹介で、今は廃業している宿の好意で泊めてもらい、山葡萄で醸造した赤ワインをだされたこともあった。夏山での山間集落を通った時には、村人から、「山うなぎ」なるものを勧められたことがある。

集落共同炊事場の竈に、村の衆全員が食べられる量の御飯を炊ける大きな鉄釜が載せてある。蓋には孔があって、(なんだろう?)とのぞいていると、孔から、蝮が厚さから逃れようと顔をだす。炊き上がるころ、料理係が、頭を引っ張ると、頭と骨が、綺麗に身から離れて白飯の上に落ちる。それに、にんにく砂糖醤油をたっぷりかけて蒲焼きとするのだ。

皆が一風呂浴びて浴衣に着替えて広間に並んで座る。ほどよく酔いがまわったところで、勇作が、学生時代の体験談をいうと、笑いの坩堝《るつぼ》と化した。


    
 
スポンサーサイト

theme : 自作連載ファンタジー小説
genre : 小説・文学

line

comment

Secret

No title

( ´゚д゚`)えーーー

蝮丼ですか??

すご~い!豪快ですね!

うそみたい(*^。^*)

くろこ姫様

勇作のモデルとした亡き父よりきいた話し。
真偽のほどは今となっては判りません。
昭和20年末あたりのことだと思います。
line
line

line
Google ペイジランク
ページランク-ナビ
line
奄美剣星
line
文鳥貴族
文鳥貴族
line
最新記事
line
「怪盗めろん」

 

line
「文鳥王トリスタン」
 
line
ブクログ
line
小説家になろう
line
amazon書籍
line
アルパカ版の恋太郎です
line
映画『副王家の人々』より
副王家の一族 
line
イアリング
 ekubo
line
チャイナドレス
chainadoress
line
ポーズ
sofa
line
魯迅記念博物館
inu
line
陽だまりの乙女
usagi
line
裸婦
うつぶせのジャスミン
line
sakasu
line
打ち上げ花火をあげられる四季の風景時計
line
PC広告Amazon
line
テーブルと椅子
椅子3   
line
sub_line
プロフィール

奄美剣星 (狼皮のスイーツマン)

Author:奄美剣星 (狼皮のスイーツマン)
1930年前後の歴史推理小説 シナモンと素敵な旅をどうぞ

line
ranking 1
 
line
ranking 2
人気ブログランキングへ
line
置手紙
おきてがみ     
line
Twitter ぼたん
Sweetsman7をフォローしましょう
line
レッドバロン
line
検索フォーム
line
QRコード
QRコード
line
所収作品について
文献・画像等引用の場合は引用元を記載。自作小説倶楽部作品著作権は各著者に帰属。それ以外の文藝作品・絵画写真画像に関する諸権利は当該ブログ管理人に帰属。無断複写転載を禁じます。
line
カジュアルのシナモン
シナモンアップ 
line
リンク
line
マラッカ要塞
marakka
line
珈琲館の割れ甕
城南
line
地図
line
草原の乙女
sougenn
line
バー
eruhurio  
line
海へ行こう
umiheyuku2
line
祖母
  umiheyuku 1
line
洗い髪
araigami
line
癒しの音楽
line
sub_line