伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 陸《おか》にあがった海賊大名の城 「宍戸城」
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

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陸《おか》にあがった海賊大名の城 「宍戸城」

宍戸城というのは江戸時代初期に築かれわずか半世紀で跡形もなく破壊され、地下に埋もれた「幻の城」だ。ゆえにその存在を知る人はけして多くはなかろう。2010年12月18日土曜日、遺跡調査現地説明会が行われた。

北関東道友部インターチェンジ・アクセス道路工事にともなう事前調査のため、茨城県笠間市に所在する宍戸城にいる。とはいっても城は完全に破壊されて田地に帰し、往事の姿は地下を掘り下げて見つけた土台部分から想像するより術はない。

宍戸城は近世大名秋田氏のもとで改築・拡張された風変わりな城だ。丘陵が周囲にある内陸部であるにも関わらず、田地であった湿地帯をわざわざ土盛り整地して築かれ、研究者の首をひねらせている。普通の城であれば、本丸くらいは小高い丘を利用して築くのが普通であろう。ところが宍戸城は本丸すらも湿地を土盛りして整地し、土塁を築いている。

今回の調査対象は約4600㎡。武家屋敷区画で、掘立柱建物跡、礎石建物跡、井戸跡、池跡、それに外堀が検出されている。掘立柱建物跡というのは、地面深くを穿って、直接柱を差し込む建築工法である。礎石の上に立てる礎石建物跡よりも古い技法である。武家屋敷の区画であった一帯では、礎石建物跡は数少なく、掘立柱建物跡が主体となっている。

次に宍戸城の築城から廃城にまつわる経緯を述べたい。

茨城県笠間市に所在する宍戸城は1203年 (建仁3年)に、常陸国守護職八田知家《はったともいえ》四男、宍戸四郎家正左右衛門が新善光寺跡に築城したのが始まりとされる別名を山尾城という。調査された宍戸城の北東の丘陵地に古館《ふるたて》という地名があることから、そこに小さな城館が営まれていたのではないか、という説がある。

1595年(文禄4年)、宍戸四郎義長が、佐竹氏に破れ、真壁郡海老ケ島(真壁郡明野《まかべぐんあけのまち》に移封される。宍戸城は在地豪族宍戸氏の居城であったが、1595年(文禄4年)、宍戸氏が合戦で敗れると、佐竹氏の拠点の一つとなる。

1600年(慶長5年)、関ヶ原の合戦で徳川家康が勝利し江戸幕府を開く。幕府の仕置きで、1602年(慶長7年)、関ヶ原の合戦で中立の立場をとった佐竹氏は、幕府の命により出羽秋田へ移封。代わって、出羽秋田城主秋田城之介実季《さねすえ》を宍戸5万石に移封させられる。

秋田氏一党が入城すると旧館としての宍戸城は手狭となり、新城を築く必要があった。そこで
新城としての宍戸城が改築拡張整備されてゆく。

ところが、1645年、二代目藩主秋田俊季は、5千石加増で陸奥三春に移封され、宍戸城は廃城。宍戸は幕府天領となる。

1682年(天和二年)、水戸の徳川光圀の弟松平頼雄《よりのり》が1万石を与えられて宍戸に拠り、宍戸城本丸跡地に陣屋を築く。陣屋というのは、5万石前後の城持ち大名よりも格下である1・2万石程度の大名が住まう館だ。

代々藩主は江戸詰となり宍戸に在住することはなかったという。1844年(天保15年)、陣屋新築。維新を迎える。

では、なにゆえに、秋田氏は低湿地に築城したか。

秋田氏の別姓は安東氏である。安東氏といえば中世において日本海貿易を独占していた「海の豪族」と呼ばれる水軍一族だ。中世の水軍は海賊ともいわれている。

秋田氏が宍戸にくる直前の城は、雄物川河口に立地した平城の湊城であり、古代から続く港湾都市「土崎」を管掌する城で低湿地帯に築かれている。

また掘立柱建物跡は、17世紀まで東北北部において盛行した建築工法である。

よって、秋田氏はそれまでに慣れ親しんできた築城における立地および家屋の建築技法を内陸部である宍戸に持ち込んできた可能性が考えられる。

なお秋田氏の次の移封先である三春城は山城で、今度は低湿地に城を築きなおしたりはせず、在地の城を引継いでいる。

初代である秋田実季が宍戸城を改築したときは、陸にあがったばかりで、「いつか海に還える」という意識があったものが、半世紀近くに渡って内陸に拠って生活したことで気概は風化しゆく。ここに、「陸《おか》にあがった海賊大名」二代目秋田俊季との差異、家中の意識変化をみることができよう。



余湖氏の筆 『宍戸城』

イラストは、『余湖』さんのホームページからの転載です。
http://otakeya.in.coocan.jp/info02/sisidoobara.htm

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