伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 雫編7/7完結 「ラブレター」 恋太郎白書37
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

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雫編7/7完結 「ラブレター」 恋太郎白書37

【本編】
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むかし恋をしてはふられてばかりいる若者がおり、人は若者を指差して恋太郎《れんたろう》とよんだ。花や紅葉が、はらはら、と宙に漂うかのような若者だった。
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雫《しずく》を失ってからどれくらい経っただろう。恋太郎はどうにか普通に食事をしたり、学校に通うことができるようになった。
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学校から梨山寮に帰る途中、小田急の準急車両の中でダンディー氏をみつけた。ダンディー氏は、わざとらしくはあったが、明るく、恋太郎に声をかけてきた。
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「やあ、恋太郎君、元気になったようだね。やっぱり、君は、そういう笑顔が似合うんだなあ」
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「しばらく、麻胡先生と連絡がとれません。何かご存知ですか」
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「あれ、知らないのか。麻胡先生って科学者だろ。宇宙飛行士の試験受けて合格したんだ。今頃はアメリカのNASAだよ」
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意外だった。というより、とても貴重な時間を割いて、あの人は自分につきあってくれたのだ。恋太郎の目頭が熱くなる。
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寮に戻るなり、麻胡先生の伯父である還暦を越した寮長がぶっきらぼうに、「麻胡から預かった」といって手紙を恋太郎に渡したので、早速、部屋で開封して読んだ。
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「しばらく留守にします。こないだ私が君の背中を抱いたことを覚えてくれていても、いっこうに構わないよ。
 ダンディーさんのこと。ああ、友達だから気にしなくてもノー・プロブレム。いい人ね。たとえば結婚したとするでしょ。絶対にばれないように(とても器用に)遊んで夜のうちに帰宅する。そういうところは家族思いだわ。社会的な地位もあるし、連れだって街を歩いていて悪くない。あくまでも普通の女性にとってはの話しだけれど。
 ただね、厄介なのは、嫌なところまでみえてしまう私の遺伝子の問題。仙女の系譜。そんなの信じられる。いまどき馬鹿げているでしょう。
 恋太郎君、私は知っていたよ。雫さんに出会うまで、君が私をずっと想っていてくれたことを。そして私は自分自身と、やがて産むことになる子供たちの未来が判る。君が良き夫となり良き父親になるということも知っている。
 だから次に会う時までには、『男の子』を卒業して、私を迎えてね」
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雫編(『恋太郎白書』第31話~第37話)稿了
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【脚注】
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恋太郎《れんたろう》/ 東京郊外の大学に通う学生。本編の主人公。
愛也《よしや》/ 恋太郎の幼なじみ。恋太郎の大学近くにアパートを借りている学生。
マダムと美咲《みさき》/ 喫茶店〝めらんこりい〟オーナーと女子高に通う娘。
ポモリ教授/ 恋太郎の通う大学で教鞭を執る。
麻胡《まこ》先生/ 恋太郎と愛也の高校時代の化学教師で現在は大学院生。仙女の系譜をひく。在職中、男子生徒の絶大な支持があった。華僑系帰化人の孫娘。
 雫《しずく》/恋太郎の大学同期生で、はじめての恋人。
ダンディー氏/法律事務所の花形弁護士。麻胡先生に気がある様子。映画鑑賞を趣味とする。



★ 雫編全7話が完結しました。このエピソードは、シリーズ最終回にもってくるものかもしれません。共有の無意識というものが横行し何度も辛酸を舐めたもので、私が記事に書くというのは、著作権のアピールに他なりません。インスピレーションが降りたので、素直に、イメージを物語化することにしました。後日、再度構成すると思います。
某サイトに先行して掲載しました。そちらでのコメントです。
『恋太郎白書』全編を読んでいらっしゃらない方にとって、
作品全容が判りやすくなるものと考え、最終回に読んで下さった
方々のコメントを転載させていただきました。
皆様ありがとうございます。
  
 
アバター
2010/11/07 01:12
凪様
 追記
  せっかく貴重なお時間を縫って、読破・コメントしてくださったのに、自分のコメント欄を
  消去しようとしましたところ、誤って貴女様の記事を消してしまいました。
  大変申し訳ありません。
  懲りずにまたコメントくださいね。
  ( ↑ スイーツマン、切腹申し付ける!)
 
アバター
2010/11/07 01:05
でふぉると様
 ひとつの節の様なもの
 しばらく初期形式をやっていたりします(笑)

さえこ様
 いまはまだ力量不足だけれども、すべての運命を知ってしまう悲しい性をもつ麻胡先生を知り受け入れることのできる可能性を秘めているのは恋太郎だけ。異常なほどに優しい男。宇宙飛行士となり、外国・宇宙と、飛び回ることになるであろう伴侶との時間は少ないでしょう。離れていても思いあう強い意志が必要となり、伴侶として選ぶなら、そこのところが強くなるであろう恋太郎と考えます。
 素晴らしい読解力。一気読みに感謝いたします。


きらん様
 麻胡先生はすべてを知ってしまうけれども、そのぶん、恋太郎は鈍いので大丈夫ですよ。
  図書館の一件もありますが、どうもそちら方面に強い感性をおもちのようですね。
 こういう伝説があります。もともと月の子孫である男女とは一体のものであったのが二つに分かれた。
 もともと一個体であった存在は、自分そのものだから、男女に分かれても結ばれることはない。
 完全一致のパートナーは存在しない。それも一理あるでしょう。

きらん様
 10年位前の遺伝系のレポートに
 生物は、パートナーを自分ににたものを選ぶというのがあり、TVで報道されていたのを憶えています。
 遺伝子的に近い顔、身体的特徴、あるいは親のフェロモンに近い伴侶を無意識のうちに選んでいる
 可能性があります。その方のお子さんが、きらんに似ているというはそういうことでしょうかねえ。
 興味深いお話、ありがとうございます。

凪様
 そうです。大切な人を失ってなお一生懸命に生きる恋太郎です。
 なんとか支えてもらって、ご飯を食べれるようになりました。
 つぎは、助けてくれた人たち、特に麻胡先生に恩返し
 麻胡先生の魅力を褒めて下さりありがとうございます。
 未来を知ってしまう悲しさ、きついですよね
アバター
2010/11/06 17:49
笑える(?)後日談があるのです。
学生時代の仲間だったその人とは、共通の友人もたくさんおり、
『彼の娘さんは、きらんによく似ている』のだそうです。
奥さんは、自分で産んだ子だから、『他の人に似ている』と言われても平気だろうけど、
『きらんの子供がその彼に似ている』と、言う事になったら
『きらんの旦那はやぶさかではないだろう』と、飲み会の話題になってたよって。
たしかに、男の人にとっては確信が揺らぐかも~~~~!

あ、きらん、今日は何でこんなにおしゃべりなんだろう??
アバター

きらん2010/11/06 17:22麻胡先生によるダンディー氏の洞察、興味深く読みました。 今日は、調子に乗って、自分の事書きすぎ~な気もしますが、思い当たる事。仙女じゃなくても、相手の事が手に取る様に分かってしまう様な組合せってありますよね。きらんにとってのその人は、なぜか『前世で双子だったんじゃないか』と思うほど好みがぴったり。もちろん、とても楽しい時間を共有する事になったのですが、お互いを楽しませようと、話を少し脚色したりするときも、どこまでが事実で、どこからか脚色なのか分かってしまうほど。いつしか、お互い相手の裏を掻こうと必死になって疲れてしまいました。気も合うし、大好きだけど、永遠のパートナーにはなれない組合せでした。致命的だったのは、その後、その彼の伴侶となった女性と初めてあった時、私自身が『彼のパートナーにぴったり。彼は絶対にこの女性を気に入る』と感じてしまったのです。今はその彼に恋愛感情はありませんが、つい、癖で『あのひとなら、こんな風に言うだろうな~』って、思う事があります。そして、自分の伴侶とは、『違いを認めあえる関係』だと思います。『割れ鍋に綴じ蓋』です。 

アバター
2010/11/06 16:28
雫編、一気に読ませていただきました。
雫さんを失う恋太郎さんが切ないなあと思って読み進んでいましたが、
なんだか最後にもっと切ないのは、
全てがわかってしまうという運命の胡麻先生の気がしてきました。
けれどもそんな力を超えて胡麻先生が人生を楽しんでいる様子が、
「私を迎えてね」という言葉に込められている気がしました。
 
アバター
2010/11/06 04:08
これまでの話では、女性とのちょっとした出会いの話で、
恋愛に発展する話は雫編が初めてですね。(編自体が初めてですが)

今後の話がどういった展開で書かれるのか興味津々です。
アバター
  • スイーツマン
2010/11/06 01:38
ライトケイヒル様
 まだ生きておられます。天より男子どもを瞬殺。(爆)

ソラちゃん様(恋太郎の親戚のお嬢様)
 子を産む選択権は女性が主導権、まさにそうですね
 「麻胡先生に愛され」まさに、力関係を示しています(爆)

BENクー様
 このシリーズでは、普段やらない試みをいくつかしています
 描写、外部ブログはもう少し入ります。一番熱い恋愛物語。う~む、そうですねえ。
 基本、恋太郎は、静かに過去の失恋を愛おしむキャラですよね。

てんにゃ様
 ぼろぼろの恋太郎を応援いただきありがとうございます
 麻胡先生にときおり喝のお手紙をもらって、奮い立つでしょう

藍姫様
 恋太郎、ぼ~としてるから、麻胡先生の深い愛に気付かない。
 ほんと、この男の子、先生に背中を抱きしめてもらえなかったら、
 御飯が喉に通らず衰弱して死んでいたでしょう。
 いつもありがとうございます。

灰猫様
 ひらひら、翻弄する麻胡先生。籍が同じくなっても、永遠の恋人でしょう。
 雫編をお読みいただき感謝します。

あさかぜ様
 のほほんと失恋を楽しむ恋太郎、命をおとしかけるほどに本気モードの恋が存在。
 雫を愛し失ったことでちょっとだけ強くなった。そしてさらに強くなってゆく。
 麻胡先生への思い。どちらかといえば憧れととらえる方が多いと思います。
 登場した回で、思いで話のように描きましたので。当初は1回登場のみのキャラの予定でしたけれど
 皆様の反応が良かったのでレギュラー、そして未来の伴侶に、とイメージが膨らみました。
 いまごろは月にいるかもです。
 恋太郎、年上女性が好みというより、支えてもらわないと、呼吸困難で死んでしまうかもしれません(爆)

Salmon様
 驚愕感動とはまた世辞にも嬉しいお言葉に感謝します。
 恋太郎というより、生きておれば、近い体験をする可能性はありますよ。
 人に十分に愛されてこそ、人は深く愛することもできる。私はそう考えます。
 シリーズ通読ありがとうどざいます。
 
アバター
2010/11/06 01:12
久しぶりに読んでみればこんな感動的な話になっていたとは…
Salmon 驚愕!

まさか恋太郎がそんな経験をしていたとは
羨ましいような 妬ましいような でも恋太郎がそうして経験してきたソレは
いつかの彼(恋太郎)みたいな奴を救ってやれる時が来るんでしょうね

是非とも恋太郎には幸せになってほしいですね
感動をアリガトウございました
今度かく[人を好きになるということ]に自分が想う恋愛の定義について
かいてみたいと想います (アレ以来全然手をつけてないので…)
 
アバター
2010/11/06 00:55
雫編完結 お疲れさまでした^^
やけどすることもある恋愛に、意識して深入りしない男性もいますよね。
雫との関係は深入りしてしまった恋太郎でしたが、やはり辛い思いをしてしまったというわけですが。このような経験も重ねながら恋太郎も精神が強くなっていくのでしょう。
ここへくるまで、麻胡先生が本命だったことに、まったく気付いてなかった私自身の読解力にはがっかりしました。
麻胡先生がNASAへ行ってしまったのは、ちとびっくりしました。
いかにも不思議な人めいて、『今頃月にいるのかなあ?』などと読者が妄想してしまいそうですね。
恋太郎の性分なら、年上の女性を好きになるでしょうね。納得できました。
アバター
2010/11/05 21:53
麻胡先生、まさしく仙女のような方。
きっとこの後結ばれる日が訪れても、ひらりひらりと舞うように
恋太郎を翻弄し、そして当たり前のように良い方へと導いてくれる方なんでしょうね。

雫編、お疲れさまでした。
 
アバター
2010/11/05 21:43
運命の赤い糸が見えないのは、人間だけですね。

恋と愛は似ているようで全く違う。
失った恋を強さに変えて、麻胡先生と幸せになって欲しいです。
それにしても、先生は大人ですねぇ~^^
アバター
2010/11/05 16:21
恋太郎さんよかったです。麻胡先生が帰ってくるまで、頑張って!^^
アバター
2010/11/05 13:51
恋太郎の一番熱い恋愛物語の終焉・・・魔女先生が恋太郎にとって大きな存在であることが彼の救いになっていることにホッとしました。
 
アバター
2010/11/05 11:32
あ~、麻胡先生。
なるほど、そうだったのですねぇ。
やっぱり、子供を産むとなると・・・
遺伝子を選ぶ権利は女性にあるんだなぁ・・・と、
ふと、思ってしまいました。
恋太郎君、麻胡先生に愛されて幸せになってほしいです。w

恋太郎君の親戚のおばちゃんより
アバター
2010/11/05 07:08
仙女は天女となって昇っていったのですね・・・
合掌
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