伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 帝国への道4 (ファア王国志2)
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

帝国への道4 (ファア王国志2)

 

ファア王国の軍勢が陣城《じんじょう》としている都城の廃墟である。城門にあった望楼は朽ち、代わりに草木が生い茂っている。兵士達は、城内の草木を払い、天幕を張るに必要な空間を確保していた。陽が沈み、大半の兵士たちが、夕げを終え寝床に潜り込む時間だ。
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軍勢の主力が眠っている間も、見張りの他に、黒林の中を巡回している斥候隊がいた。弓の名手であるヤンの部隊である。ヤンの麾下は弓を得意とする者が多く夜目も利く。そんな連中が、木々の中から矢を撃ち込んでくる敵に遭遇した。
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「ルーコンか。まるで猿だ。いま、地を走ったままの勢いで木の幹まで登ったぞ」
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「早い。木々を蹴って跳びまわる。矢が当たらん」
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敵の放つ矢で王国側の兵士数名が負傷した。ヤンがいまいましげに、部下に、「貸せ」といって、弓矢を受け取る。
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「狙うのは、今いるところではなく、次に跳び移る場所。狩りと同じだ。予測するのだ。そうすれば当たる」
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ヤンの一矢が、敵兵を射落とした。ニの矢でもう一人を射落とし、三の矢をだそうとしたとき、敵兵は、斥候部隊など相手にせぬ、といわんばかりに通り過ぎていった。

一同が安堵の息をしたとき、ヤンは、怒声をあげた。

「主公《わがきみ》が危ない。陣城に帰るぞ」
.
鳥や獣を真似た奇声をあげて、森に散っている配下の小隊に撤収の合図を送り、陣城に戻ったときヤンたちが目にしたものは、寝込みを襲われ、火をつけられ、パニック状態となった味方の軍勢だった。五万六千の大軍は、数百であろうルーコンの精鋭の斬り込みになす術《すべ》もない。
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「主公はいずこにおられる」
.
ヤンは火の粉舞う陣城で、逃げまどう味方兵士をつかまえては、ユンリイ王の居場所を訊いてまわった。
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(つづく)

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theme : 自作連載ファンタジー小説
genre : 小説・文学

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