伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 伯爵令嬢シナモン3 「修道院島」第2章12
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

伯爵令嬢シナモン3 「修道院島」第2章12

【前回までの粗筋】
 〝聖石〟という名の〝反物質〟を巡って、日・独秘密機関の男達が英国田舎町リザードに集結する。ヨットに火器を隠した〝海賊〟のような連中だ。修道院島に上陸しようとしたそのとき、シナモンとベルは、敵の懐に飛び込む形で、虎口を脱した。
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【主要登場人物】
①レディー・シナモン:英国伯爵令嬢・考古学者。「コンウォールの才媛」の異名がある。 ガートルート・ローザン・ベル:英国の冒険家・考古学者・政治家。 ③トーマス・エドワード・ロレンス:第ー次大戦の英雄。 ④ウィストン・チャーチル:後のイギリス首相。第二次世界大戦を指導する。 ⑤修道士ガヘリス:中世、ヴァイキング襲撃に襲われた〝修道院島〟唯一の生存者で、後日『コンウォール年代記』著わす。 ⑥修道士ケイ:『コンウォール年代記』によれば、ガヘリスとともに脱出するがバイキングが放った矢に射抜かれて〝聖石〟ともに川底に沈んだと記されている人物。
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  ☆  ☆  ☆
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【本編】
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 〝海賊〟どもを下流に送ったシナモンが、〝修道院島〟の船着場に戻ってきた。 葉巻を加えた紳士がチャーリーという名のオウムを撫でながら、隣にいた将校にいった。
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「〝コンウォールの才媛〟という異名があるそうだね。さすが、あのベル女史に気に入られることだけはある」
「チャーチル閣下も好きになられたようですね」
.
「あの娘を嫌いになる輩《やから》は、よほどのへそ曲がり。ロレンス君、儂《わし》が、そんなに、へそ曲がりにみえるかね?」
「いえ……」
.
 初老の政治家がはにかんで葉巻をくわえて、
「レディー・シナモン。きたるべき〝大戦〟には、あのような強い意志と聡明な頭脳を祖国は求めることになる」
.
「秘書にお望みですか?」
「欲しい。頭脳《ブレーン》としてな──」」 
 チャーチルはロレンスに一本勧めた。
.
 発掘作業は再開された。ロレンスや巡査も作業に加わった。浜岸には砂と泥が堆積しており、修道士ケイの遺体はそこにまだある。庭師夫婦と少年が遺体の周囲を、パレットナイフで薄く削って清掃し、シナモンとベルが写真や実測図の記録をとった。記録作業が片づくと、総出で、担架《たんか》がわりの平たい板を遺体の横におき、下に滑り込ませた。
「ふう、冷や汗がでたわ」
 ベルがつぶやいた。
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 シナモンの横にきたチャーチルとロレンスが、修道士が握る〝聖石〟をみた。このとき、ベルがつぶやいた。
.
 ──道化《ピエロ》もいいところだわ、私たち。これは粘板岩《ねんばんがん》。どこにでも転がっている石よ。
.
「ただの石ころだと──」
 チャーチルがくわえた煙草を落として、額に手をあて、天を仰いだ。
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「なーんだ。〝お宝〟じゃなかったのかあ」
 若い巡査が呆れたように笑った。
.
 シナモンは、落胆した様子の周囲とは無関係な態度で、黙々と所見をノートに記していた。
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 修道士ケイの遺体は学術的な価値がある。ロレンスが古巣の大英博物館に連絡した。保存のためロンドンに運ぶこととなった。近日中に学芸員がやってくる。その間、遺体は温度が低い教会地下室に保管することになった。  
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 チャーチルが〝修道院島〟を離れたころ、調査を終えた〝修道院島〟の波止場から、ヨットに乗り込んだ初老の学者が黄金の髪をした若い貴婦人に訊いた。
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「ねえ、シナモン。あなた、ほんとは〝聖石〟のありかを知っているでしょ?」 
「『コンウォール年代記』そのものが、修道院唯一の生き残りであり著者でもある修道士ガヘリスが仕組んだトリックなのです。本物はというと──」
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(つづく)
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  ☆  ☆  ☆
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【後記】
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 夢見るような眼差しのアルパカ恋太郎は今日も川岸に立っている。張り込みを続けていた我々は、上流から流れてくる一艘の小舟をみつけた。漕ぎ手は横になっているのだろうか、誰が乗っているのかわからない。いったい小舟には誰が──。
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(猫になった『佐藤の日記』より)

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comment

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どもです☆

おぉ!やっぱりシナモン嬢は聖石について何か知ってるんですね♪
そして次回への上手いひっぱりが素敵です(笑

Re: どもです☆

本流に戻すため
挿入エピソードのラストシーンに入ります

もちろん、シナモンは聖石のありかを気がついていました(ヒロインなので)

ほめたくださりありがとうございます

こんばんわ

こんばんわ。

深い歴史の闇のようですね。
専門家でいらっしゃるから発掘の描写とか期待しています。
イギリスも昔は戦闘、信仰色々濃い歴史のようですね。
偽書というかトリックを含んだ書物、興味ありますね。

Re: こんばんわ

KOZOU様
発掘描写──あまり詳しく描いても退屈してしまうのではないかなあと。
書物──唯一の生き残りが著せば、なんでも真実におもえてしまう──程度のはなしです
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