伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 『間諜最後の日』 1935年 ノート20160725
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

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『間諜最後の日』 1935年 ノート20160725

 
 文豪サマセット・モームが第一次大戦に英国情報局MI6に属しエージェントとして活躍していた体験談をもとに短編スパイ小説シリーズ化したのが1928年初版の『アシェンデン』だ。内容は英国陸軍のR大佐がモームのアバターたるアシェンデンが、エージェントとして世界中で諜報活動を行うというものだ。
 先日私はモーム研究家たちの書籍をいくつか読んでいたときこんなエピソドを知った。
 モームの友人には、後に首相となるウィストン・チャーチルがおり、(嘘かまことか)、シリーズの作品を目にして、軍事機密に触れるエピソドを削らせた。――ゆえに現存するモームのスパイ小説はこれ一冊となった。そんな『アシェンデン』シリーズの一編に「毛無しメキシコ人」および「裏切り物」がある。
 「毛無しメキシコ人」はフランス・リヨンを舞台にしたもので、主人公は陽気で人懐っこいのだけれども目的のためには手段を択ばない元反政府軍の将軍である。任務の最中、知り合った情婦が敵の工作員であると勘違いし何のためらいもなく始末してしまうのに、エージェントたるアシェンデンも驚くという内容だ。
 「裏切り者」はドイツ人を妻とした英国人ケイパーが祖国にはいづらくなってスイスに居を定めていた。これにドイツの将校が目をつけて諜報員とした。ケイパーは祖国を憎んではいないのだけれども反社会的行為を楽しむ軽度のサイコパス的傾向をもった男で、英国側の諜報員であるスペイン青年を敵に売って殺してしまった経緯があった。そのケイパーは雇い主であるドイツ将校の命で、祖国英国に戻ってドイツのために諜報活動をせよと命じられた。ケイパーは断ることもできたのだが妻がやめてくれといわなかったので、虚栄心からフランス経由で帰国する際、アシェンデンの情報によって待ち構えていた連合軍側に捕縛され処刑された。アシェンデンは傷心のケイパー夫人をみる一方で、雇い主であるR大佐の嬉々として感謝を示す手紙を受けとりやるせなさを感じる内容だ。
 この「毛なしメキシコ人」および「裏切り物」を素材として、1935年に巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督が『最後の間諜』〝Secret Agent〟として英国映画を世にだしている。概要は次の通りだ。
 リチャード・アシェンデン英国作家・陸軍大尉ブロディは任務のため表向き病死として公表されたのだが、実は諜報部員となっていた。そして上司である情報部6のR大佐に命じられた彼は、スイス・ジュネーブに赴く。ジュネーブにドイツのエージェントがおり、始末せよというのだ。映画では相棒役のメキシコ人〝将軍〟と、カモフラージュとして妻役の美女エルザを預けられる。
 アシェンデンたちはスイス人でドイツ側から英国側に寝返った諜報員であるスイス人オルガン奏者に接触しドイツ・エージェントを特定しようとするのだが殺されていた。しかし被害者は加害者のボタンを殺害されるときに引きちぎっていた。カジノを訪れたとき、同じボタンを失くした英国紳士ケイパーがおり、この人が敵エージェントだと目星をつけ、登山に誘われたのを機に、相棒の〝将軍〟が断崖から突き落とした。しかし、直後R大佐からの手紙で無関係だと判った。
 冒険心からスパイとして夫人役を買ってでた勝気なエルザだったが良心からこのミッションに疑問をもつようになった。そしてアシェンデンと愛しあっていることを確認すると諜報員を辞めるように説得した。
 そんななか〝将軍〟が、ナンパしたレストラン女給から、婚約者が務めるチョコレート工場が敵諜報員の連絡場所であることを知らされ、一緒に乗り込む。拠点であるホテルに残ったエルザは、駆け落ちに同意したアシェンデンがけっきょく仕事を選んだことにショックを受け一人逃亡を図った。そこにドイツ・エージェントのマーヴィンが現れ、一緒にトルコにゆくことになる。このマーヴィンは若い色事師でエルザの尻を追っかけまわしていた色男だったのだが、実はアシェンデンをマークして冒頭から近くにいた。
 列車に乗り込むマーヴィン、後を追うアシェンデンと〝将軍〟そしてエルザ。スイス国境を越えたらドイツの同盟国オーストリアだ。トルコ領・アラビアの叛乱鎮圧にむかう枢軸側兵士たちが続々乗り込んできた。――三人は敵地に入ってしまった。
 マーヴィンが揺れ動くエルザに惚れている間に、アシェンデンたちが二人のいるコンパートをみつけた。アシェンデンの通報を受けたR大佐はマーヴィンを暗殺すべく軍用機三機で列車を襲わせた。列車は脱線。マーヴィンは瀕死の重傷を負うが水を求めたところを同情した〝将軍〟がそれをやろうとした隙にピストルで射殺した。
 アシェンデンたちの活躍によって、英国は中東での作戦に成功。本国が祝杯をあげている最中、結婚式をあげ本物の夫婦になったアシェンデンたちから、諜報員はこれっきりで辞めるという手紙をもらって終わる。爽快なエンディングだった。
ブロディ/リチャード・アシェンデン……ジョン・ギールグッド
エルザ……マデリーン・キャロル
将軍……ピーター・ローレ
マーヴィン……ロバート・ヤング
ケイパー……パーシー・マーモント
ケイパー夫人……フローレンス・カーン
R大佐……チャールズ・カーソン

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