伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 創作ノート/欧州中世末期の甲冑に関するノート
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

創作ノート/欧州中世末期の甲冑に関するノート



●両手剣クレイモア―(CLaymore)剣術

 両手剣による武技である。中世ドイツ傭兵「ランツクネヒト」が好んで用いた。両手武器をもった相手を倒すとき有効だ。防御力はないが、かわりに攻撃力が全開となる。両手剣は全長二メートルにも及ぶ大剣である。肩に乗せそこから振り落とし、
対長槍パイクをぶった斬った。対長槍パイク戦術において有効である。長槍を大剣で叩き斬る。
 16世紀半ば、スコットランド傭兵の精鋭は両手剣クレイモア―(CLaymore)を好んで用いた。

 市川定春 『幻の戦士たち』 新紀元社 1988年 P108

板金甲冑プレート・アーマーの装着

 首からゴージットをとりつける。ついでブレスト、バック、プレートを装着する。
 次に腕を覆うアッパー、ローア・キャノン、エルボガードをつける。次に肩を防御するパウルドロンをつける。これで頭と手を残した上半身の装着が終わる。次につま先から太腿へと鎧を装着する。ソラレット、グリニーブ、二―ガード、キュイサールの順に装着してゆく。そして、腰の周りを防御するタカセットをつけ、頭と顔を覆うヘルメットであるあーめっとを被る最後はガントレットと呼ばれる手の甲及び指を防御する鎧をつけて全ての装着が完了する。

市川定春 『幻の戦士たち』 新紀元社 1988年 P111

●板金甲冑の変化(16~17世紀)

 
板金甲冑プレートアーマーの全盛期は15世紀から17世紀である、その初めは火器からみを守るか、あるいは13世紀にはじまる槍試合トーナメントのために発展した。
 16世紀の板金甲冑の特徴は1枚空数枚の板金で造られた胸甲と、背甲を尾錠で止めて着こみ、肩にはスパウラドウという卵の殻状鉄板を数枚繋ぎ合わせた半円筒形のものからパウルドロンという肩を両側から挟みこむタイプに変化する。このパウルドロンについてはパス・ガードという敵の槍先をそらす、とさか状の袴がついていることもある、腕甲は蝶番で止めて一体化したもので、前腕、間接、上部分からない、脚は単独に三つの部分を分割してつけられ、すねや太腿部分は内側から掛け金で止めました。爪先はとがっていたものが平たく横に広がった形状になっている。越野は他セットと呼ばれるものがつく、こうした要所要所に細かく取り付けられる鎧部位の発生いよって、甲冑はさらに複雑化し、全身を完全に覆うものとなった。
 16世紀末の戦争においては、いよいよ火器の威力が増す。部品の一部を外したり、機能的軽量のものが好まれる。ここで登場するのが
槍歩兵甲冑パイクマン・アーマーだ。このころになるとパウルドロンは、腕鎧と金具で一体化された、特徴としては、二ー・ガードと一体化した広がった他セットだ、だがこれも最後には外され胸甲部分しか残らなくなる、
 そして17世紀に戦闘が斬りあいから打ち合いに移行してゆく時点で板金甲冑は完全に廃れる、この時点になると、板金甲冑を着て戦うことは機動性をなくし、それが命とりになった。こうして騎士たちの鎧は無用の産物となる。
 ただ、こうした板金甲冑を着た部隊が効果的に使われる事例もあった、ポーランド騎兵が該当する。さらに18世紀にみられる胸甲をつけた騎兵がその末裔にあたる。

市川定春 『幻の戦士たち』 新紀元社 1988年 P109-110

●マクシミリアン鎧と装飾甲冑

 16世紀初め、製法技術の進歩に伴って伯雑成功な河口が可能になる。鎧の表面に多数の溝が造られる。鎧の表面に溝をつけることは15世紀末から始められるのだが普及したのは16世紀からだ、また鋭角だった鎧の風体が、曲線的な形に変化し、特に胸甲や、ヘルメットにそれが、見受けられるようになる。つま先を覆う鎧・ソラレットもそれまでの尖ったものから横に広がり足先の形状に合わせてフィットしたのもこの時期だ、
 製法技術の向上は鎧の装飾にもみあれる、浮きだし加工、
浮彫エッチング、金メッキなどが生まれる。これらの河口は鎧の防御面にはまったく無関係で、それどころか有害になる場合もあった、鎧を装飾するという考え方はこの時代にみられた線刻模様を一般定期傾向に即していたといえる。怪物の頭を模したヘルメットもこの時代の所産だ。すでに板金甲冑プレート・アーマーが実用的な意義を持たなくなった感がある。そうした影響からか、この時代には、鎧の一部をつけて町を歩いたり、一般住民でも剣を下げて歩くことがごく当たり前の習慣となった。

市川定春 『幻の戦士たち』 新紀元社 1988年 P111-112

●実用鎧の頂点

 下記の発展が進み、
板金甲冑プレート・アーマーの実用さえいが薄れたとはいえ、鎧製造の記述は同時代頂点に達した。それまでの重装騎兵の重要性は薄れ、歩兵を中心とした尖塔が行われる。こうした中で生まれるのが歩兵用の甲冑だ。
 
槍歩兵甲冑パイクマン・アーマーはこうした時代に生まれた、ただ、あくまでも歩兵は歩かねばならないため、思い切った重装化はなく、胸甲や上半身防御主体の鎧が主流になる。胴・下腹部のみを守り、頭にはヘルメットを被る。この兜はモリオンと呼ばれる、つばの部分の前端と後端が上に反り上がっている、また ※バーゴネット(Burgonet)と呼ばれるバイザーを取り外してできるものも現れる。

所見/※ バーゴネット(Burgonet)とは、歩兵戦術を発達させた神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世の支配地ブルゴーニュ公国(北部領低地地方ネーデルランド)語源か?


市川定春 『幻の戦士たち』 新紀元社 1988年 P112
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