伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 地誌(神聖ローマ帝国)、創作ノート/ハプスブルク戦記
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

地誌(神聖ローマ帝国)、創作ノート/ハプスブルク戦記



 古代ローマ帝国が東西分裂すると間もなくゲルマン人により、西ローマ帝国が崩壊しゲルマン諸国が乱立することになる。そのなかの有力部族フランク族が同名の王国を築き、一時はローマ教皇から西ローマ帝国皇帝の称号を贈られるほどとなった。これがメロビング朝だ。メロビングの後を襲ったのがカロリング朝だ。カロリング朝フランク王国において三分割統治を模索し、中央・東・西に分かれる。中央フランクの家系がまっさきに断絶したので、東・西フランクが遺領を分割相続する。これにより西フランク・東フランクとでほぼフランス・ドイツの原型となった。中央フランクの遺領であったネーデルラント、ライン川沿いであるアルザス・ロレーヌ(ラインラント)地方、北イタリアはその後も、帰属をめぐってフランス・ドイツが何世紀にも渡り抗争することになる。
 西フランクが発展したフランス王国は、国号はフランクからとっている。これに対し、神聖ローマ帝国はドイツ主体の東フランクが発展して、北イタリアまで勢力を伸ばし教皇から、西ローマ帝国の尊称に代わってその名を冠するようになった。

神聖ローマ帝国
 神聖ローマ帝国(主にドイツ・オーストリア・スイス・ネーデルランド)は、諸侯領・司教領・帝国都市(自治都市)からなる宗主権をもつ実態のない国家だ。その弱さが、逆に実力のなかった田舎貴族ハプスブルク家に帝位と大封をもたらす結果となった。

オーストリア大公国
 神聖ローマ帝国東部辺境にあるアルプス山脈にかかる山岳国家で、東流する欧州第二の大河ドナウ川中流に沿った谷底平野になったあたりが開けている。大公の尊称は、ハプスブルクの先祖で実力があったオーストリア公が、王と公の間にある称号として僭称していたものだったが、同家系から神聖ローマ帝国皇帝を輩出するようになると同家出自の公爵のみが大公として正式に認定されるようになる。
 主要都市はウィーン、イノシュタット、リンツだ。

ウィーン都城。ドナウ河に面した星形をしている城市だ。オーストリア東部でハンガリーとの国境に近い。ぼんやりした皇帝フリードリヒ三世から、共同統治をしていた弟アルプレヒトが、市民を煽って叛乱を起こさせ兄とその家族を追いだし都城を乗っ取る。だが彼は暴君であったため、廷臣に暗殺された。市民たちはまた皇帝一家を呼び戻し和解した。その後、マクシミリアンがブルゴーニュに入り婿すると、東方からハンガリー軍を率いてきたマーチャーシュ英雄王が、次に述べるイノシュタット城市及び東オーストリアを一時占領した。英雄王が死ぬとマクシミリアンがイノシュタットとともに奪回した。

イノシュタット(正しくはウィナー・イノシュタット)城市。ウィーンの南五十キロにある古都。神聖ローマ皇帝たるフリードリヒ三世が行宮を置いていたが、実質は田舎町で、宮殿と呼ばれているところは砦も同然で、内部は華麗な内装よりも防御を優先しているため薄暗い。エレノオーレ皇后とのちに皇帝となる幼少時のマクシミリアンはここで暮らしていた。皇后の霊廟があり、マクシミリアンの遺骸はは母の亡骸の横に並べられることになる。ハンガリー軍が攻めてきたとき、マクシミリアンの従兄ザクセン公アルプレヒトが守備したが、皇帝からの支援がなくやむなく開城。

リンツ城市。イノシュタット城市。ウィーンからドナウ川を西に遡った右岸にあり、そこはオーストリアのど真ん中から少し北に寄った場所だ。東オーストリアがハンガリーに奪われて以降、皇帝フリードリヒ三世の行宮が置かれ、彼はここで没した。


チロル公国
 神聖ローマ帝国に所属し、オーストリアの西側に隣接している。もともとハプスブルク家嫡流の所領だったのだが、そこが絶えると、親族の間で分割された。フリードリッヒの甥ジークムントが治めていた。はじめは善政を敷いていたが、年をとって浪費をしだし、地元参事会から退位させられてしまう。その後バイエルン公と一悶着あったが、結局マクシミリアンが相続することとなる。銀や岩塩を産し、交通の要衝でもあり、ブルゴーニュ公国内戦期のマクシミリアンの経済基盤となった。
ハンガリーに、直轄領であるオーストリア東半国を奪われていた皇帝は、帝国各地の自由都市やら修道院をふらふら彷徨っていた。そのため、甥っ子にあたるチロル領主ジギスムントに皇女クニグンデ様を預けていた。ジギムントの公国はチロル州の他にフォアラント州も併せていた。そしてこの人はバイエルン公国からお妃をもらった。お妃の甥っ子がバイエルン公アルプレヒトだ。(二稿21)

バイエルン公国
 神聖ローマ帝国の有力な諸侯国をなしている。バイエルン公アルプレヒトは、偽の皇帝からの手紙を書いて、大公女クニグンテを騙し結婚する。その後、チロル公の所領や帝国都市をめぐっても皇帝と対立し、ついには帝国軍が出撃し滅亡寸前にまで追いやられる。そこでローマ王となったマクシミリアンの仲介があり命拾いした。また身内所領の相続で王の支援もあって、バイエルン一国の支配権を確立した。以降、王の右腕となったことはいうまでもない。

ザクセン公国
 皇帝の甥であるアルプレヒト勇猛公は、諸侯たちからほとんど相手にされなかった皇帝フリードリヒ三世に忠実に仕え、しばしば自腹で戦費を調達した。そのため所領内は憤懣が鬱積していたのだがなんとか叛乱は回避できた。

〈その他の都市〉

ケルン城市
 ドイツ西部を南から北に向って流れるライン川。そこの畔にケルンという大司教座が置かれた城市(まち)がある。城市(まち)のシンボルは丘の上にある二つの尖塔をもったゴシック様式の大聖堂だ。君主である大司教は選帝侯と呼ばれ、神聖ローマ帝国皇帝を選ぶ権利をもった大諸侯でもあった。この城市では、年一度、腕に覚えの騎士たちが欧州中から集まって、武技を披露する一大イベントがあった。いわゆるケルン槍術(トーナメント)大会である。(2稿03を加筆)

コブレンツ城市
 選帝侯トリーア大司教領コブレンツは、モーゼル川がライン川に注ぎ込む南ドイツ河川交易の要衝だ。一四九二年九月の帝国議会はそこで開催された。(二稿29)

アウクスブルク城市
 南ドイツにある都市。豪商フッカーの根拠地だ。

ウルム城市
 ドイツ南部のドナウ川に拠ったところにある。マクシミリアンがハンガリーからの東オーストリア奪還と周辺の平定のため幕府を置いた城市。

ニュールンベルク城市
 一四九一年神聖ローマ帝国議会開催地で、半島の公国ブルターニュを救うべくマクシミリアンが熱弁をふるうが否決された。



回廊公国《ロートリンゲンorロレーヌ》〉
●ロレーヌ公国ナンシー都城
 いわゆる「ロレーヌの振り子」と呼ばれる地域。神聖ローマ帝国に属していた地域で、ある時期からフランスが横やりをいれるので、アルザス地方とともに、係争地となっているのだが、住民はドイツ系とされる。 
 この時代は神聖ローマに属する諸侯国であった。

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