伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 07電脳猫/電脳仮想都市(コイマチ)より
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

07電脳猫/電脳仮想都市(コイマチ)より



 セカンドライフを過ごす電脳仮想都市(コイマチ)にある僕・恋太郎の屋敷。そこには、同居人がいた。コイ・ペットなる存在である。犬・猫・兎、それとパンダとアルパカといったものがいる。現実世界での犬猫は喋ったりはしないのであるが、ここの連中ときたら、酷くお喋りである。僕ははじめ黒猫を飼いだし、やがて、柴犬を追加した。佐藤と中居という名前にした。 両方とも雄だ。
 こんな物語はどうだろう。
     ☆
 佐藤と中居は、東京倶楽部という神田にある出版社の記者とカメラマンだ。電子書籍の小説公募があり、佐藤はしぶしぶ、下手な投稿小説を読まされることになった。そのなかに、呪いの自作小説があった。だがパソコン画面のむこう側には雪女がいて、そっちの世界に読者を引きずり込んでしまうのである。それで、佐藤と中居は犬に姿を変えられ、僕の部屋に棲んでいるというわけだ。
 屋敷にはささやかな庭と菜園が付属している。僕は水やら肥料やらをやってから、部屋に戻る。すると、彼らが僕の帰りを待っている。ヴィクトリア朝様式をしたカーペットと暖炉のある部屋だ。
 にゃん。
 わん。
「どうしたね、佐藤さんに中居さん?」
 猫パンチ。
 がぶり。
 ぎゃっ。僕はしたたか悲鳴をあげた。ちょっとブログをさぼっていたからって怒るなよ。
 だが、終末、僕は性懲りもなく、ブログ執筆を怠けて、日帰り温泉に出かけてしまった。そして、翌日だ。
「先輩、恋太郎が、執筆を『おさぼり』してましたね」
「鉄槌をくださねば」
.
  ──奇門遁口の陣。
.
 疾走した二匹の獣が宙を舞い、獲物の左右から食らいついた。
.
  ──見切った。
.
 僕が両手に持っていた分厚い書籍に、犬と猫が頭を強くぶちつけ、床に崩れ落ちていく。そこでしたりと笑みを浮かべるのであった。
 夕刻、部屋の壁を猫と犬が蹴り、X字に宙を舞った。そこへ、帰ってきた僕がでくわした。
「佐藤さんに、中居さん。またろくでもないことを考えていたな?」
「秘密特訓を知られてしまった。中居、練り直しだ」
「了解っす、先輩」
.
 だだだだだだ……。
.
 翌日のティータイムである。「お茶の時間だ」といって、僕が部屋に入ってきた。このとき、床に何かが落ちてきて、大きな音をたてた。
「中居、根性が足りんぞ」
「いいよなあ、先輩は猫で。俺は犬っすよ。自分を褒めてやりたいっすよ! 」
 天井からまた別の塊が落ちた。猫だ。そいつが、奄美の頭を踏んづけて外に飛び出していった。
「今度は佐藤さんか!」
 猫の後を犬が追いかけ逃げていく。
.
 ──「待ち伏せコウモリ作戦」失敗。
.
 だだだだ。

 うぎゃぎゃぎゃ。

 擬音が多い。僕は昨今、三頭めの居候を飼いだした。黒い雄のアルパカで、スイーツマンと名付けた。猫の佐藤と、犬の中居は気に入らないらしく、威嚇ばかりしているのだった。
 新しい同居者・スイーツマンは、夢みるような眼差しをしている。
「スイーツマンとかいったな、新入り?」佐藤がいった。
 スイーツマンはまだ夢みるような眼差しだ。
 中居が苛立つように猫の言葉をつないでいった。
「なんとかいえよ、新入り」
.
 もおおおおおおっ。
.
 犬が猫に訊いた。「アルパカって、牛みたいな鳴き方するんっすね?」
「ラクダの一種だ。そんなはずはない……。アルパカの恋太郎はいつも夢見るような眼差しだ。眼差しの先には何があるのというのだろう。いや、幸福というものは夢をみている瞬間だけなのかもしれない。『佐藤の日記』より」
「先輩、日記つけてるんすっか? 猫なのに、どの手で万年筆、どうやってもつんですかね?」
「中居、細かいことをいうな!」
 犬が首をすくめた。
     ☆
 僕は、犬・猫・アルパカの画像をブログの自作小説に貼りつける。
 その日の博多マイコのコメントは、「かわいい」とだけ書いてあった。
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theme : 自作小説(ファンタジー)
genre : 小説・文学

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