伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 恋太郎白書 第4話「第三王国」
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

恋太郎白書 第4話「第三王国」

 むかし恋をしてはふられてばかりいる若者がおり、人は若者を指差して恋太郎とよんだ。花や紅葉が、はらはら、と宙に漂うかのような若者だった。
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 恋太郎の故郷には、かつて三つの王国が存在した。
 第一王国は藁でできていた。十月に成立した王国は炎に包まれて終わった。
 第二王国は木の枝葉でできていた。明けて四月に成立した王国は、淋しい山奥にあり、誰も訪れず放置されて終わった。
 そして六月、流浪の騎士たちはサンクチャリ(聖域)にたどりついた。
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  ※  ※  ※
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 第一王国と第二王国の建国には、王子とラピュッツェル(救国の乙女)の兄妹の存在があったのだけれども、第三王国建国のとき、二人は旅に出ていて不在であった。
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 流浪の騎士たちは、宮殿を築いてから王子とラピュッツェルを迎えようとしたのだが……。
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 第三王国の建設には二日を要した。材料はサンクリャリにいくらでも落ちていた。板に釘。それさえあればなんだってつくれる。騎士たちはそう考えた。
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 建国から三日め、蛮族の襲撃があった。騎士たちが衝撃をうけたのは、蛮族たちのなかに、王子とラピュッツェルの姿をみつけたことだ。
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 激しい投石の応酬。壁をよじ登った騎士団長が、〝宮殿〟に転げ落ちたとき、屋根が倒壊し、第三王国も終わったのだった。
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  ※  ※  ※
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 王子は、叔父が在籍していた会社に就職していたので、実家で恒例にしていた正月の宴席に訪れたことがある。ラピュッツェルは、運転免許取得のとき、偶然、教習所で出会った。だいぶむかしの話しだ。
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 騎士団長の実家と恋太郎の実家は隣り合っているので夏と冬、二人が帰省すると顔をあわせる。騎士団長は懐かしげにいった。
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 ──稲刈りでできた藁。冬場になると積まれていたんで、〝秘密基地〟を造ったものだったよなあ。山林でも造ったし、塀に囲まれた資材置き場跡地にも造ったよね。
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 騎士団長は遠い目をしながら話しを続けた。
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 ──合戦〟は面白かった。市営住宅に越してきた子たちが、周りを囲んで石を投げてきたのには驚いた。もっと、驚いたのは、王子とラピュッツェルが〝あっち〟についたことだけど。
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 資材置き場は撤去されて今は存在しない。市営住宅も老朽化して近く取り壊されるそうだ。
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 あのときいた騎士たちは、大人になってから都会に流れ着き、星の数ほどもある〝王国〟にそれぞれ仕官したのだということを風の便りで知った。
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 恋太郎が仕官した〝王国〟も、一つめは滅びたため、二つめに移った。三っつめに行かずにすむことを願っている。

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  ※  ※  ※

せ、先輩、ルパンだあ~っ!

 

 

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おはようございます

おはようございます。
今日も寒そうです。

隠れ家、宮殿、ほんとに懐かしいですね。
わたしも仲間と夢中で作りました。
やはり子供もわが城はほしいのですね。
「王子とラピュッツエル」はいませんでしたが二人が敵方についたのはショックだったでしょうね。特にラピュッツエル。
子供の縄張り意識も大人とあまり変わらないようですね。
しばし遠い目です。

Re: おはようございます

早朝は極めて寒く、白銀が薄く自家用車を覆っていました。このような日は暖かくなるようです。

 やはり〝秘密基地〟をつくられましたか。みんなつくりますね。最近の子供達はどうなのでしょう。人類の歴史を、子供は疑似体験するような気がします。
 歴史によくある「裏切り」というのはよくあること。その気がなくとも、こちらがしている場合だってあります。──しょうもない……と思いながら、本日も心臓を稼働させております。

 いつもコメントをくださりありがとうございます。
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