伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 スイーツマンが、村上春樹『1973年のピンボール』に思うこと
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

スイーツマンが、村上春樹『1973年のピンボール』に思うこと

 

 自作小説をなさっていらっしゃるブロ友のプロフィールを読んでますと、村上春樹ファンが多いことに気づきます。えっ、あ、はい----私ですか? 読書傾向は雑食しておりまして、好きな作家を追いかけるということはあまりしてません。……というわけで買ってきましたよ。読者様、また一人できあがり~。
.
(起立) 今日から村上春樹ファンクラブ新人のスイーツマンで~す。
(礼) 仲良くしてください。
(着席) 例のごとく、いちばん薄い文庫本を買ってきました~。(←ボコボコ)
.
 ----で、読んだ本は、村上春樹の、『1973年のピンボール』
.
 主人公「私」は、「鼠」とも自称しています。「鼠」と自称する理由は、アパートで鼠とりを仕掛けて捕らえ、いたぶるわけでもなく、「出口」を見つけられずに勝手に死んだ鼠と自分を重ねあわせたのだと思います。(←志賀直哉『城之崎にて』をぱくった?)
 「鼠」を自称する主人公は、
.
 ----ものごとには「入り口」があって「出口」があることが重要だ。
.
 と述べていますので、「出口」を見いだせない自分、未来のビジョン、目的を持たないない自分。ニートな状態を自嘲しているかのように感じます。
.
 舞台は1973年、東京近郊の新興住宅街。「私」は、亡くした恋人の面影を引きずったまま、新しい恋人に出会い同棲をはじめます。恋人はなんと双子姉妹で、両方と関係をもちます。(←野獣です)
.
 姉妹にも主人公「鼠」同様に、まともな名前がありません。スーパーの開店記念でもらった208、209というTシャツの製造番号が乳房のあたりにかいてあることから、その番号が姉妹のニックネームとなります。
.
 登場人物たちに名前がないということは、個性に価値を見いださないということでしょう。読者であるわれわれが登場人物たちと、「置き換え」しやすようにするための仕掛けなのかもしれません。
.
 主人公には、いくつかの大好きな場所があります。一つは井戸。もう一つは、美味しい珈琲をだす、時代を代表するようなゲーム台〈ピンボール〉のある店です。
.
 井戸では、小石を投げ沈んでいく音に安らぎを覚え、ピンボールでは、ゲーム台である「彼女」と会話を楽しむのです。(←オタク野郎です)
.
 井戸には底があって「出口」がありません。ピンボールも自己の殻のようでやはり「出口」がありません。
.
 やがて、「私」は、合わないという理由で大学を辞め、両親の別宅である高級マンションに引っ越します。(←パラサイトです)
.
 野獣、オタク野郎、パラサイト----なのに、「鼠」を自称する主人公「私」は、がつがつしたところがなく、草食系男子に思えたりしてきます。そう思わせるのは文豪村上氏の腕でしょうね。
.
 ----これではいけない。
.
 主人公「私」の口からは、キーワード「カント」の名前が何度も出てきます。カントといったらドイツの大哲学者。(理性的な生き方)を奨める方ですね。でも村上氏はカントがどういう人物か、「一般常識だろ」というふうに流してしまいます。(←春樹ちゃんの、いぢわる~)
.
 そして、双子姉妹との「野獣」のような関係をぼろぼろになりながら終わらせ、高級マンションを引き払い、また、その地を離れて働くのだと決意します。
 居心地のいい美味しい珈琲をだすピンボールのある店は潰れ、跡地は、まずい珈琲をだすドーナッツ・チェーン店になりました。
.
 「鼠」を自称する私は、優雅ではあるのだけれども閉塞した状況に、自らの意志で、風穴をあけました。ここまでくると、「鼠」は胎児のようにも思え、母親の母胎から飛び出した胎児は、「人」という大人になったのだと考えるようになりました。
.
 物語は、精神的な、「出産の一瞬」を描いたのでしょう。この「出産の一瞬」こそが、「あおはる」ではないですか!

.
 主人公「私」が、「鼠」をやめた瞬間を、「爽やかな風が吹いた」と評する人もおりますけれど、(まずい珈琲のように)にがくも感じます。
.
 ミルクと砂糖が、たーっぷり、欲しくなってきました。
 はいはい、どうせ、スイーツマンは大甘党ですよ~。

. 

コメント 

アバター
2010/01/23 19:17
 村上春樹ですか。
 読んだことありますよ、翻訳を……。(笑)
 あたしタイプの作家ではありませんが、翻訳を読んでいて思うのは「上手い!」ってことですね。
 翻訳とは思わせない書き方をします。まぁ翻訳と思わせないと言うことは、かなりもとの文章を変えている可能性があるので、好き嫌いは別れるのでしょうが。
 1973年ですか……。あたしが生まれた年だなぁ……。あれ? もしかしてあたしが鼠?(笑)
 
アバター
2010/01/23 18:51
村上春樹さんと言いますと、真っ先に「ノルウェイの森」を思い出すわけなんですが、私、「ノルウェイの森」の冒頭5ページ足らずで挫折してしまい、以降一度も氏の小説は一作も読んでいません(^▽^;
ですが、その「1973年のピンボール」は少し気になりました。
書店に立ち寄った際に探してみます。

余談ながら。スイーツマンさんはお名前通り本当に甘党なんですねぇ。
私もかなりの甘党(あんこ党つぶあん派)だったりします。


.
 ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※ 
.

 

 

せ、先輩、ルパンだあ~っ!

 

中居、クリックだけはするな。ブログを盗まれるぞ。

↓ 

.

.  
 ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※
.

ポチボタン

 

   人気ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログへにほんブログ村

小説・詩ランキング

人気ランキング娯楽部 ※

  http://www.blogmura.com/help/?type=h&no=12http://ping.blogmura.com/xmlrpc/b3byx262eg9q にほんブログ村 
おきてがみ
次の行まで必要
------------------------------  


スポンサーサイト

theme : 自作小説
genre : 小説・文学

line

comment

Secret

こんばんわ(*^_^*)

こんばんわ。
今日も寒かったです。

春樹はん、わたしもあまり読んだことないですね。
あまり読んだことないのにおかしいですが、キザで生身の人間を描いていない気がして(^_^;)
まあ、ベストセラーへのひがみでしょう。
鼠の話は結構おもしろそうですね。
カントの話がそんなに出てくるのですね。
野獣にカント(^_^;)
スイーツマンさんの解釈は正しいと思います。
短そうだからいつか機会があったら読んでみます。

スイーツマンさん、いつも読んでいただきコメント大変ありがとうございます。

No title

私の産まれる1年前ですね~
鼠はともかく乳房に数字が書いてある双子姉妹。
何者なんでしょうか?
そこがとっても気になりました。
普通にありえない・・・

Re: こんばんわ(*^_^*)

kozou 様
 
 人間というのは、どのような人も、魅力的な花束と拳銃を隠し持っているようです。
 村上氏は、百万本のバラの花をばらまきながら、ときどき、拳銃をぶっ放すような文体、----といった印象を受けました。白いスーツを着たダンディーなマフィアを思わせます。文壇の沢田研二といったところでしょうか----たとえが悪ければ、すみませんね。私の個人的な感想ですから。
 『1973年のピンボール』登場人物たちの顔は、のっぺらぼうのような描写で、絵でいえば抽象画に近い感覚も受けました。

 いつも読んで戴いてありがとうございます。


Re: No title

> こちくん様
>
> 「双子」は当然のごとく二人、
>  ニックネームとなる連番数字がある場所は「乳房」
>
>  ----母親の乳房。
>
>  乳離れできない「私」の保護者を象徴する存在。
>  「双子」から離れたとき、主人公は乳離れできた。
>  と考えます。

No title

スイーツマンさん、こんにちわ。遊びに来ました。
実は私、村上ファンです。
書いてあること、とってもよく解ります。
でもパラサイトとは手厳しいですね。
私も一種のパラサイト。
「ダンス・ダンス・ダンス」や
「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」
これらは必見だと思いますが・・・
鼠との決別、そして羊男の出現・・・もうたまりません。
ピンボールは懐かしすぎていろんな事が上記の作品と結びついています。ああ、自分のことばかり書いてしまってごめんなさい。
 実はお願いがありまして。リンクをはらせていただいてもいいでしょうか。まだ小説を全部読んだ訳じゃないのにこんなお願いしていいのかと迷いましたが、どうか宜しくお願い致します。

Re: ご来訪に感謝いたします

> とこ 様
>
> 村上ファンでしたか。哲学でやたらととりあげるところの「自律」というのがテーマなんでしょうね。ついでに主人公は「自立」しますけど。パラサイト、私自身は憧れてます。はい、すみません。いろいろな作品があるのですね。とこさんのサイトでもご紹介されるといいとおもいます。
>
> リンクの件、了承いたしました。わたしも無断ではらせてもらってましたので。^^
line
line

line
Google ペイジランク
ページランク-ナビ
line
奄美剣星
line
文鳥貴族
文鳥貴族
line
最新記事
line
「怪盗めろん」

 

line
「文鳥王トリスタン」
 
line
ブクログ
line
小説家になろう
line
amazon書籍
line
アルパカ版の恋太郎です
line
映画『副王家の人々』より
副王家の一族 
line
イアリング
 ekubo
line
チャイナドレス
chainadoress
line
ポーズ
sofa
line
魯迅記念博物館
inu
line
陽だまりの乙女
usagi
line
裸婦
うつぶせのジャスミン
line
sakasu
line
打ち上げ花火をあげられる四季の風景時計
line
PC広告Amazon
line
テーブルと椅子
椅子3   
line
sub_line
プロフィール

奄美剣星 (狼皮のスイーツマン)

Author:奄美剣星 (狼皮のスイーツマン)
1930年前後の歴史推理小説 シナモンと素敵な旅をどうぞ

line
ranking 1
 
line
ranking 2
人気ブログランキングへ
line
置手紙
おきてがみ     
line
Twitter ぼたん
Sweetsman7をフォローしましょう
line
レッドバロン
line
検索フォーム
line
QRコード
QRコード
line
所収作品について
文献・画像等引用の場合は引用元を記載。自作小説倶楽部作品著作権は各著者に帰属。それ以外の文藝作品・絵画写真画像に関する諸権利は当該ブログ管理人に帰属。無断複写転載を禁じます。
line
カジュアルのシナモン
シナモンアップ 
line
リンク
line
マラッカ要塞
marakka
line
珈琲館の割れ甕
城南
line
地図
line
草原の乙女
sougenn
line
バー
eruhurio  
line
海へ行こう
umiheyuku2
line
祖母
  umiheyuku 1
line
洗い髪
araigami
line
癒しの音楽
line
sub_line