伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 スイーツマンが萩原朔太郎『猫町』に思うこと
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

スイーツマンが萩原朔太郎『猫町』に思うこと

 自作小説執筆のため資料を探しに、本屋さんと図書館にいくことがあります。そこにいけばなんとかなると思って予約注文したりすると、「絶版です」 「取引がないので」 「置いてませんねえ」などという返答。近頃は、そういう傾向に拍車がかかてきたように感じるのは私ばかりでしょうか。
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 もんもんとして、年の暮れに帰省し、亡父の書斎をみわたすと、「な~んだ~ここにあるのに~」と、いわんばかりに、おびただしい蔵書のなかで、目につく高さのとこに横積みされているではないですか。しかも、ぽん、と一番上に載っかっています。こんなことが一度ならずあります。今回で三度目だったりして。(かたじけない、パパうえ)
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 さがしていたのは、『猫町』。 萩原朔太郎の作品です。朔太郎は、『伯爵令嬢シナモン』第三部登場人物のため目を通す必用があったのです。例のごとく、執筆開始見切り発車での資料閲覧で、「うっ、違うじゃん」と、冷や汗がとまりません。
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 詩的なタッチで描かれた二〇頁ばかりの短編小説で、シュール系というか、夢小説というか、あるいはファンタジーとでもいうべき作風です。
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 モルヒネ中毒患者にして詩人である主人公「私」は、医者の薦めもあって、気分転換の散歩が日課。散歩というのも風変わりでわざと路地を間違えて彷徨(ほうこう)を楽しんでいました。ミステリー感覚が味わえるというのです。
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 旅行好きな詩人は、北越のある温泉旅館に滞在し、彷徨の散歩をして、ひなびた集落に迷い込みます。ところが集落には人がおらず、おびただしい猫だけが住んでいて、主人公「私」は、パニックにおちいりながら、現実世界に逃げかえったという展開。
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  ねっ、猫だ~。猫だらけじゃ~っ。
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 けっきょくのところ、麻薬中毒の後遺症が治りきっていないために起きた幻覚症状というのがオチ。けれど詩人は考えます。
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(幻覚と現実、どちらが真実か? 中国に、胡蝶になった夢をみた人の故事がある)
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 ----胡蝶と人間、どっちが夢をみている自分なのか?
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 読後に、シュール系の伝説的な芸術漫画、つげ義春『ねじ式』を思い出してしまいました。
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           ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※
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後書
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 巫女姿をした(雪男のメ○)お局様がいいました。
「スイーツマンに、レディー・シナモンのモデルが私だと一筆させるのです」

 猫になった佐藤氏はしばらく考え込みました。
 お局様が問いただします。
「人間に戻りたくないの?」
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 ----断る!
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「せ、先輩、な、なんてことを」
 中居氏は慌てふためき、お局様は佐藤氏をにらみつけます。
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 ----ぶり、ぶり、ざーど。
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 ガラス片のような無数のアラレが、佐藤氏めがけて、飛んできます。
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 ----分身の術!
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 佐藤氏は、おびただしい数の猫となって、実体がわかりません。
「おのれ、佐藤め、いつの間に術を会得したのだ!」
「すげ~っ、先輩、すげ~っ」
「逃げるぞ、佐藤」
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 というわけで、犬になった中居氏もスイーツマン部屋の住人となりました。
 一同礼。
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 (《どこまでも》つづく)
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 ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※ 
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コメント
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2010/01/21 01:53
追伸 とーや様

 虎に変身する話は中国の古典小説にあります。もともとは、つまらない敵討ち物語です。ある男が仲間と酒席で雑談していたら虎に変身して人を食べた夢をみた。酒席には虎に父親を食べられた若者がいて、話の特徴から仇だと判断。見事本懐を遂げるという内容です。中島敦(だったかな)、『李陵』をかいた小説家。この人が、『山月記』で、人間の業の深さを芸術的にリメイクしてますね。伝奇ですから、これもファンタジーです。
 実社会での営みから外れた系譜のもの、昔いっていた、伝奇・不条理(ナンセンス)、芸術用語のシュール(夢)は、多分に純文とも重複しますが、昨今、ファンタジーに組み入れられています。
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2010/01/21 01:40
アロマロン様

白竜もしくは玉姫だったと思います。TVでやっていた西遊記の白竜は男性でしたっけ?
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2010/01/21 01:39
とーや様

なにも剣と魔法ばかりがファンタジーではありません。伝奇といったほうが判りやすいでしょう。
Amazonn、在庫ありとかかれている楽譜を入手しようとアクセスしたら音沙汰がなかったので、つかってません。
仕事で地方を転々とする私です。人口20万クラスの都市で大学を抱えている都市、教育に関心の高い地域だとあります。パチンコ屋ばかりの地方都市は悲惨ですよ。本屋とは名ばかりでCD・DVDしか置いていないところもありました。
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藍姫様

朔太郎の話、小説は少ないです。というか唯一かもしれません。
どちらかといえば、実験的な作品でしょうねえ。欧米ではこのようなスタイルの詩もあるそうで、
短編小説というよりは長編詩とでもいうべきものかもしれませんよ。
 
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2010/01/21 00:30
あ~アレみたいww
西遊記の白い馬・・・何だったけな~???  
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2010/01/20 22:48
まさかの麻薬幻覚・・・Σ ファンタジーではなかったのですね。(笑
絶版とか貴重な文献だとAmazonとかネットを使った入手も難しいのでしょうか;
やっぱり大きな図書館とか閲覧できる場所があるといいですよね^^
・・・灯台下暗しも多そうなので書棚もリスト化できるといいのかも///

たしか人食い虎になった人、っていうお話もありますよね^^(中国史か何かで)
どちらが現実か。 結構悩むテーマです・・(///
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2010/01/20 21:55
朔太郎には、不思議な作品を書いているんですね ^^
猫だらけの町……天国じゃないですか!
一度、遊びに行ってみたいものです。佐藤さんをお供に ^^

犬の中居さんもお部屋にいるんですね ^^
お庭観察システムって、まだ機能していないのでしょうか。
部屋にいない方が、お局様に苛められないといいですねぇ~。
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2010/01/20 19:05
らてぃあ 様

 この作品の初版は70年前で、画家ダリが映画『アンダルシアの犬』を発表したりて、夢系(シュールリアリズム)が流行った時代です。朔太郎は1930年ごろ、芸術感覚では最先端をいっていたのですね。竹久夢二はアールヌーボー段階なので感覚的に20年以上遅れていることになります。
 このネタ、当時としては、とても斬新ですよ。シナモン3を書き始めたときはちょっと小馬鹿にしていたのですけれど、やはり一時代を築いた人です。
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2010/01/20 18:58
酒井しのぶ様

実は私の蔵書は父の3倍を越えます。仮住まいにあったのを引き上げたら2部屋と蔵1階を占拠しています。父の書斎がいちばん条件よく本が並んでます。

佐藤・中居は、「犬猿の仲」ではありませんよ~
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2010/01/20 18:55
BENクー様

単純に持ち主が不在となり時計がとまっただけのことです
ご承知でしょうけれど、東京・近郊の方なら、大学近郊を控えた駅周辺の本屋さんを探されるといいかもです。
図書館も大小たくさんあるでしょうしね。  
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2010/01/20 18:50
ソラちゃん

猫町とこの後記の組み合わせを昨年末から狙っていたのですよ
犬中居が私の部屋に登場する写真も
ついに念願成就  
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2010/01/20 18:48
まい様

にげろやにげろ~
 
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2010/01/20 17:31
いいな。書斎に蔵書、
「猫町」う~ん、萩原朔太郎はよんでないかなあ。
幻覚と現実の境目、、、ふと気がつくと怖いテーマですね。  
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2010/01/20 16:51
 お父様の書斎、うらやましい存在です。うちの実家にはそんなものありませんからねぇ。
 たしかに、最近は絶版が多くなっていますね。売れないんでしょうね、本。
 あたしは、まったく同じ内容だったとしても、ネットよりも活字で読むほうが飲み込みやすい脳みそをしているので、図書館でも置いてないと言われると、本当に困ります。
 最近よく利用するのは、「BOOK OFF」なる大型古本店です。図書館にすら置いてない小説が50円で買えたりして、嬉しいです。

 中居くん、犬になっちゃったのね。
 佐藤氏が猿だったら、面白かったのにねぇ……。(笑)  
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2010/01/20 16:39
絶版品が家にあるなんてスゴいですね!(…しかも図書館にすらないものとは・・・萩原朔太郎の「猫町」、今度近所の図書館見に行って見ます。^-^

佐藤氏の信念の強さに感服です!・・・(惜しむらくは、写真に犬・猫一緒じゃないことですね・・・残念。 
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2010/01/20 14:40
あっ、犬も飼われたんですかぁ~♫♩♬
お部屋、賑やかになりますねぇ~~。

ぶり・ぶり・ざーど・・・・攻撃が面白いお局さま♡、がんばれ~\(^▽^)/
 
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2010/01/20 07:50
(*゚∀゚)(*。。)(*゚∀゚)(*。。)ウンウン 逃げるに限るよ!


図書館にも無い本があるんですね~(((( ;゚д゚))))

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こんばんわ(*^_^*)

こんばんわ
だいぶ雨降りましたけど暖かでよかったです

ほんとに今は絶版とか多くなったですね。
とにかく売れることが第一、良心的な出版社はつぶれていくしですね。
お父さんも相当な読書家だったのですね。
書斎はいいですよね。

猫町読んだことはないですがおもしろそうですね。
ねじ式もとてもよかったですね。
懐かしいです。
佐藤氏、やはり並の猫ではないですね。
中居さんがソンケイ。(*^_^*)

Re: こんばんわ(*^_^*)

厚い曇で覆われていましたけれども暖かな一日でした。
そう絶版とか多く困ってしまいます。ネット記事には不備が多いですしね。
どちらかというと父はつん読派です。田舎の民家というのは部屋数だけは多いです。
意外に朔太郎はすぐれており驚き。猫町は興味深い作品です。
『ねじ式』 やはり読まれてますね。

佐藤氏、はい、頑固なポリシーの持ち主のようです。
中居氏は迷惑かも。(いやもともとお局様を怒らせたのは中居ですから自業自得)

No title

探していた物がそこに置かれているって、そう言う不思議な事ってありますね。なんか、青い鳥が舞い降りたような…

ところで、1Q84のなかで、主人公は『ねこのまち』に行って
帰ってくるのです。
なんか、仕掛けや関連がありそうなので、読んでみたいなあ。アンテナを張っていると、いろんな情報がぽんと手に入るこんな瞬間も、青い鳥かも…
気長に探してみます。

Re: No title

『1Q84』 そういう物語でしたか。朔太郎のリメイクだったのですね。 
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