伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」 初戦敗退/恋太郎白書163・(掌編)
 

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」

小説、エッセイ、画塾

cinamon B 飛行船シルフィ― cinamon

初戦敗退/恋太郎白書163・(掌編)



昔、恋をしてはふられてばかりいる若者がおり、人は指をさして恋太郎と呼んだ。花や紅葉が、はらはら、と漂う、そんな若者だった。

掌編恋愛小説群
恋太郎白書
第163回 


従姉である螢の体育祭とか学芸会というものを、恋太郎は何度か観に行ったことがある。美少女で成績もよかった螢は、いつもヒロインだった。主役を張るのも定番で、野球部でピッチャーをやっている脇坂という同級生だ。投手というのは四肢のバランスがよく、女子にも人気がある。

「螢ちゃん、と脇坂君って、お似合いだよね」

生徒たちは、そんなふうにいっていたものだ。

映画館のある歓楽街の真ん中を走るトロッコ列車の線路に沿ったメインストリートを西に向かうとやがて、中学校の前にたどり着く。海猫市立第六中学校。街路から北に向かって踏切を渡り、正門を抜けると校庭となり、体育館、二回建ての三つの校舎が連なっている。最も北にある本館の後ろの高台には水深一・二メートル、全長五十メートルのプールがあった。女子が泳いでいると、近所の若衆がのぞきにきたり、夜になると、銭湯変わりに身体を洗いにくる人がいたりした。特に螢が泳ぐ時間というのは、どこで訊きつけるのやら、白昼堂々ののぞきが集まったものだ。

お世辞にも治安がいい状態とはいえない。女子中学生たちは必ず集団で下校した。部活で下校が遅くなる場合は男女一緒に帰っる者もいた。脇坂投手は、野球部でマネージャーをしていた螢に寄り添うように、家に送り届けたものだ。

「やあ、君が恋太郎君だね? 螢お姉ちゃんからいつも話を訊いているよ」

「!」

脇坂投手は身体をかがめて幼子に話しかけてくれた。恋太郎はセーラー服を着た螢のスカートの袖を引っ張りながら後ろに回りこんだ。その後も、二人そろったところで何度も出くわし、笑顔を向けられるのだけれど、けっこう妬けたような記憶がある。人生初の失恋であった。




【登場人物】

恋太郎/長じて失恋の天才児となる。

螢/恋太郎の従姉
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theme : 自作小説(ファンタジー)
genre : 小説・文学

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